雑に完結させられている
500X年。
宇宙史上、もっとも大きな戦争が始まった。
ひとつは宇宙防衛軍で保守派のシェフリル、対するは自由軍で革新派のポミアックス。この戦争で、宇宙に散らばる数兆人の人間がどちらかの派閥に分かれ、空前絶後の争いを繰り広げることとなり、終わりなき戦争を人々は予感する。
しかし宇宙史上もっとも大きな戦争はひとりの偉大な英雄を生む。
戦争は英雄によって数年で終わる。
今、その物語が開かれる。
タツヤは火星に住む15歳の少年だった。
戦争が始まって1年が経とうとする頃、彼や彼の友人たちの将来の夢は「宇宙防衛軍」のエリートコースを歩むことになっていた。大きな戦乱を予想して防衛軍は先手を打って人員の増強手配を試みた。親子三世代に渡っても使いきれない高給と宇宙中に響き渡る名誉を餌にプロパガンダをおこなって、宇宙戦闘員を募集したのだ。
タツヤもその募集に心沸き立った少年のひとりだった。
「俺は絶対に軍曹になって、自由軍のやつらを一人残らず倒すんだ!」
「俺だって宇宙防衛で活躍して軍曹になる!親の生活を楽にしてやるんだ」
「なんだって!?じゃあおまえはペルセウスの担当な!俺は天の川銀河を守る!」
「なにをー!」
ふたりはケンカをしながらも仲良く成長した。そして18才のとき、宇宙軍の入隊試験を受けることとなる。
「俺は宇宙空軍に入る!」
「俺は宇宙陸軍だ!」
ふたりは部署こそ違えど互いに競い合い、そして順調に出世をした。
そして100年後。
「まさか、おまえとここで戦うことになるとはな」
「本当だぜ。因果なものだわ」
俺はくわえタバコを宇宙に放り投げる。俺が捨てたタバコは限りない宇宙をさまよい、いつか誰かと出会うこととなる。それを俺たちは運命と呼ぶ。俺はタツヤが対宇宙スーツ電磁ミサイルを放つまでのほんのコンマわずかな間、宇宙の壮大さに心を酔わせる。
「どちらが死んでも恨みっこなしだぜ!」
俺は大きく叫んで向かってくるミサイルに向けて砲弾を放つ。
この戦いによって自由軍は圧倒的優勢を勝ち取り、宇宙に、いや、火星に真の自由と平和をもたらすことになる。
俺はたまにタツヤの墓参りに行って、あいつが好きだったウォッカを墓にかけてやる。せめて生まれてくる時代が違えばなと感傷に浸ったあと、吸っているタバコを墓に投げる。ウォッカのかけられた墓は炎をあげる。
俺とタツヤにお似合いの関係だ。そう思い、俺はニヒルに口角をあげる。
End.
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