用語がわからない
とある広告代理店の会議室にて。
「では株式会社OD&AMDで、えぇー、宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部 本部長をされております瀬川さまと、株式会社Olviter de Thanatosにて、えぇと、メイキャップ アーティスティック フィナンシェ」
「フィナンシャル、です」
「あー、失礼いたしました。フィナンシャル an do トロワ事業部 メイキャップアーティスト育成パート メディアリーダーの花村さまをお迎えいたしまして、弊社含む3社協業の広告企画である”テレビCM 花咲くウェブマンボ討伐映画祭”の第二回企画会議を始めたいと思います」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします」
「はい、よろしくお願いいたします。会議の司会は私、株式会社ミーティングカオスの藤本が担当させていただきます。さて、えぇ、まずですね。今回は打ち合わせ人数が少し多くてですね。恐縮なのですが。とりあえず、前回、いらっしゃらなかった人が3名ほどいらっしゃるようですので、その方だけ自己紹介をお願いいたします」
「はい、では私から失礼します。株式会社OD&AMD 宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部 プラットフォームプランナーの田畑と申します。弊社瀬川の部下、ということになります。どうぞよろしくお願いいたします 」
「はい、よろしくお願いいたします。田畑さんはプラットフォームチームの方で非常にアイデアに長けたプラットフォーム導入企画をいくつも売っていらっしゃるということで、瀬川さん曰く、プラットフォームのことに関しては彼に聞けば間違いない、という感じだそうですね」
「ふふふ」
「いや、恐縮です」
「謙遜なさらず。では次の方」
「はい、株式会社OD&AMD 宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部 ビジネス&リサーチ インターフェローアシスタントの戸口と申します」
「はい、よろしくお願いいたします。戸口さんは瀬川さんによれば、えーと、プラットフォーマーとの対話を大事にビジネスを軌道に乗せるファクト重視のリサーチスキルに長けておりクライアントとの、あーと、アタッチメントを育みながらダイナミズムに富んだコミュニケーションをえーと、まぁそういうことだそうですね」
「ふふふ」
「恐れいります」
「はいでは3人目のかた」
「はい、株式会社Olviter de Thanatos フラワーオフラインメディア サンクチュアライジング プラットフォーミングアーツ ディファイド プロフェッショナル企画部にてオンラインフラワーセグメンテッド リージョナルのグリーンティー アフォード プロテクティッド係をしております。川崎 J 千鶴と申します」
「はい、ありがとうございます。えぇ川崎さんは」
「川崎 J とお呼びくださいませ」
「あぁ、はい、失礼いたしました。川崎 Jさんはですね。花村さんとは同じ会社ながら直接の関係はないんですよね?」
「そうなんです。花村はメイキャップ アーティスティック フィナンシャル an do トロワ事業部のメイキャップアーティスト育成事業メディアを担当しておりまして、私は少しまた事業部が違いまして、申しあげましたとおり、フラワーオフラインメディア サンクチュアライジング プラットフォーミングアーツ ディファイド プロフェッショナル企画ですね。こちらを専門にしておりまして、そのなかでもオンラインフラワーセグメンテッドというリージョナルがございまして、そこでグリーンティー アフォード プロテクティッドの係をさせていただいております」
「ふふふ」
「はぁ、あのーあれですかね?川崎さ、いや失礼、川崎 Jさんは緑茶かなにかのお仕事ということで合っておりますか?」
「いえ?緑茶は特には関係ないのですが」
「あぁそうですか。失礼しました。あの花村さんとはどのような事業の違いが」
「これは違うようでいて似ているのですが、花村の所属する事業部はご存知ですか?」
「あぁ、えぇー、と、メイキャップアーティスト育成のメディアですかね」
「ふふふ」
「左様でございます。花村は育成事業のメディアを取り扱っております。そもそもメイキャップアーティストといっても、世間一般のメイクの仕事とは違いまして私どもはそもそも女性のエンパワメントを主体にサブルーチン型のメイキャップアーティストを育み、女性のソーシャルテクニックにおけるコンサバティックなファイナンスではなく、主体性をもって華麗でそして堅実なメイクという風にカルチャーを変化させていこうという事業ですね」
「あはい」
「ふふふ」
「私の事業部もコアコンピタンスにおいては、メイキャップ アーティスティック フィナンシャル an do トロワ事業と近しいものがございまして、フラワーオフラインメディア サンクチュアライジング プラットフォーミングアーツ ディファイド プロフェッショナル企画というのは花ですね。つまり生花ですとか花瓶に飾る花ですとか、そういったものを女性のソーシャルエンパワメントにおけるトリガーとして機能するメタファにできないかというアイデアから少し掘り下げまして、そもそも花をなぜ女性が愛すかといえば、本能的に精神の聖域として花弁を捉えており表象として守られた自己愛的な対象取り入れ行為、これをつまりサンクチュアライジング プラットフォーミングアーツをいうのですが、それが女性によって自然とオフラインで行われており、しかしここをあえてフィナンシェとしてディファイド プロフェッショナルできないかと考え、事業を展開しているわけですね」
「はぁ」
「私はそのなかのオンラインフラワーセグメンテッドリージョナルにて、グリーンティー アフォードのプロテクティッド係をしているだけですので、緑茶とは直接は関係がございません」
「あーえーと」
「そのまま言った通りでございまして」
「あぁそうですかね。それは失礼を。では緑茶は関係ないということで。では本題に移らせていただきまして、”テレビCM 花咲くウェブマンボ討伐映画祭”というテーマで弊社と株式会社OD&AMDさまと株式会社Olviter de Thanatosさまの協働で」
「失礼、株式会社OD&AMDではなく、株式会社OD&AMD 宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部として予算を組んでいまして」
「あぁそりゃ失礼を」
「あの、私どももメイキャップ アーティスティック フィナンシャル an do トロワ事業部として予算を組んでおります」
「あぁそうでしたか。すみません、大きな会社さまですとそういうこともございますものね。はい、では言い直しましょう。株式会社OD&AMDではなく、株式会社OD&AMD 宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部さまと、株式会社Olviter de Thanatos メイキャップ アーティスティック フィナンシャル an do トロワ事業部さまの協業ということですね」
「はい」
「左様でございます」
「ふふふ」
「はいまず、本日のアジェンダは2つですね。といっても1つ目が大きくほとんどです。CM 花咲くウェブマンボ討伐映画祭の絵コンテですね。先日、弊社のプランナーを同席させましてお見せしたかと存じますが、そちらに関してご意見をまとめて弊社へお伝えいただきましたかと思いますが、そちら、まだ時間がございますので、少しそれを叩きに話し合いをしまして、まぁアイデアを揉むんですな。茶葉を揉むように」
「ふふふ」
「はい、そういう時間を30分ほどいただきます。それでもうひとつは広告の出稿費用の割り当てですな。それについてご確認をいただき、会社の方へお持ち帰りいただければと存じます。このふたつですね。ではさっそく、絵コンテの話し合いをしましょう」
「はい、では失礼して私から」
「はい川崎 Jさん」
「あのー絵コンテは前回の議事録の方で確認させていただきまして、花村とも打ち合わせました。とても素敵でー。あの、華やかさがございまして。もうとても気に入っております」
「恐縮です」
「ふふふ」
「ただですね。少しだけリクエストもしたいな、と思いまして。と言いますのも、弊社事業部は女性のソーシャルエンパワメントを主体にですね、メイキャップ アーティスティック フィナンシャルをan do トロワしていくというビジネスミッションを掲げておりますので、その点、少し加味していただいてですね。あの、もちろん、お花のー、あのフワッと舞うなかのマンボはとても宜しいかと思うのですが。あのーマンボの方々に女性を?もう少し増やしていただいて、あと立ち位置ですか。これ、男性が真ん中にいますよね?これを女性が真ん中に?難しければ真ん中を男女に?していただけますと、幸いなのですがー」
「あぁーはいはい。これはプランナーがあまり意図なく配置してますね。ではそうしましょうかね」
「あとあのーマンボの衣装も?マンボウの被り物って、たぶん、ダジャレだと思うのですが、少しこう、品位を持たせたくてですね。別の何かに」
「なるほど。これはプランナーと協議が必要ですな。ちなみにアイデアなどはございますか?」
「すみません、あの株式会社OD&AMD 宣伝プラットフォーム Web ディベロップ インスタンス統括本部さまとのことを?あのー考えを抜きに出してしまうのですが、やはり薔薇なんかをモチーフにしていただいてですね」
「薔薇、ですか」
「あのーご無理をいうつもりもないので、もしできればという感じで」
「横から失礼します。プラットフォームプランナーの田畑です。ジャストアイデアなのですが、女性のエンパワメントという観点と弊社のプラットフォーマーとしてのイメージとを掛け合わせるという意味では、大地なんていうのはいかがでしょうか」
「だ、大地」
「はい、大地は生命を司る大いなるプラットフォームですし、あの、僭越ながら女性のイメージを語らせていただければ、やはり母性と言いますか、支える力をもった大いなる女性という」
「あら素敵ですね。大地を纏う。素晴らしいことと思います」
「ふふふ」
「恐れ入ります」
「な、なるほど。あとでプランナーに相談してみましょう」
「ですが水を差すような意見ですみません。大地に母性を抱くというのは少し疑問がございまして、そもそも女性のエンパワメントの必要性がなぜ発生したのかといえば、その大いなる母性神話に縛られて監獄のような現代に生きているところに端を発します」
「はぁ」
「私どものリージョナルでは例えばタオルひとつとっても、その生産に強制された女性の労働を含むものは扱いません。あくまで自発的かつ自愛と慈愛に満ちた女性らしい包括的主体性と月の満ち引きに掛け合わされたルナのマタニティオポチュニティーをポジティブドライブしたインポートものでない限り扱わないと決めています」
「な、なるほど」
「そういう意味ですと大地を衣装とするのは正しくルナのマタニティオポチュニティーをポジティブドライブしていられるように感じますが、その発端が母性であるとするならば、ディテールにもし女性のネガティブスパイラルマテリアルトレンドが表出されたものならば、弊社の使命とは逆の効果を閲覧者に与えてしまうこととなります」
「あー、えぇー...」
「はい、では大地はやめておきましょうかね。川崎 Jさんとしては、マンボウよりは薔薇が良いと」
「あ、花村の意見にございます」
「あ、花村さんの」
「ふふふ」
「左様にございます。あと、ご無理をいうつもりはございませんので、必ず薔薇というわけではございません」
「あぁはい。プランナーに相談してみましょう」
「あのすみません。戸口です。株式会社OD&AMDビジネス&リサーチの。すみません、こちら広告の効果については測定したいなと思っていまして。前回、議題にあったかと思いますが、思わず口にしてしまうをテーマに今回のCMもプランを出してもらったように思います」
「そうですな。その通りです」
「それでウェブマンボってワードが出てきたかと思うので、やはりマンボウの衣装はもとのテーマを辿る限り、必要かと思います」
「なるほど、一理ありますね」
「今回は弊社ウェブマンボ討伐のオフラインキャンペーンへと導線が組まれておりますし、新規、契約にも影響したり、既存顧客のみなさまにも改めてプラットフォームへの親しみを持っていただきたいな、と考えもございまして。えーと、うまく言えないのですが」
「まぁお祭りマンボウでいいじゃないか、と」
「ふふふ」
「そういうことになりますかね」
「ではマンボウではなく、正統な"マンボ"の衣装でも良いのではないでしょうか?」
「か、川崎さん?」
「川崎 Jとお呼びください」
「川崎 Jさん、なんとおっしゃいました?」
「マンボウでなく、マンボ、です。そもそもウェブマンボという言葉を浸透させたいのであれば、マンボウではなくマンボの衣装でもかまいませんよね?」
「はぁ、まぁ言葉を辿ればそうかもしれませんね」
「マンボのラテンのリズムにのせて、華やかな衣装に身を包めば、それだけでサマになります。自然と女性の肌にも目が向き、生き生きとした情操がCM自体にも生まれます。それはコメディーナイズされ形骸化されたマンボではなく本来のクオリアをもったエンターテイメントかつプラクティシカルなキューバニズムを醸し出すマンボとなります。まさしくCM閲覧者の口にも出るマンボなのではないでしょうか」
「ふふふ」
「はぁ」
「すみません、花村さん、ふふふって笑ってばかりじゃなくて、すこし補足をお願いできますかね」
「今のは花村の意見を私が言ったまでです」
「えぇ?はぁ、じゃあまぁ。いいですかね。正統なマンボの衣装とプランナーには相談しておきましょうか。大地はいいですかね?省いて」
「あ、一応、検討だけはお願いしてみてくださると」
「薔薇もよろしければ」
「わかりました。じゃあ検討するよう伝えてみましょう。ところで瀬川さん、さっきから何にも仰っていませんが、大丈夫ですかな?何かあれば仰ってくださいよ」
「私は部下たちに任せてますから。ちなみに司会に徹しておられますが、株式会社ミーティングカオスの藤本さん。あなたは何か要望などはないのですか?会社を知ってもらうために取り入れたいものとか、リクエストだとか」
「あぁ弊社としては、これだけ良い打ち合わせが出来れば。あとはCMが完成して流れてくれれば、それで十分です」
「なるほど、それは景気がよろしいようで」
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