第5話 新居が決まりました

私達は人間の体内に入りホッとした。

体内での電磁波は安定していて私達にあうことを確認したからだ。


さて、先住者のリンさんに挨拶に行くとしよう。

確か脳という器官にいるとか・・・


あ、話しを円滑にするため登場人物(?)を紹介しとくね。

まあ、3エネ体だけだけど。


?3エネ体が分からない?

・・・

人間は一人、二人でしょ?

私達エネルギー体は 一エネ体、二エネ体となる。


私は”ヘッド”、妻は ”シャン”、先住者は ”リン”。

覚えやすいでしょ? 

頭をシャンプーとリンスで・・


・・・

ゴホォン! 作者のネーミング・センスだからね・・


さて、どうでもいいことは置いといて・・

ご挨拶、ご挨拶・・と。


私 「リンさん。よろしくね。」

妻 「よろしくね。助かりました。」

リン「ようこそ此処へ!」


私 「まさか同胞がいるとは思わなかったよ。」

妻 「本当にね~・・」

リン「あら、そう?」

私 「リンさんは何処から来たの?」

リン「太陽系外からだけど。」

妻 「やはり隕石となって来たの?」

リン「違うわよ。」

私 「え? じゃあ自力で?」

リン「まさか~! バカじゃないの!」

私 「?!」

妻 「まあ、旦那がバカなのは確かだけど。」 

私 「をぃ!」

妻 「何か?」

私 「・・いえ、何でもないです・・」


はぁ~・・私の扱い、こんなものかな~・・


リン「ねぇ、貴方達さ~・・・

   のろけるなら自分の住処でやんなさいよ!」


妻、私「のろけてません!」

リン 「あ、そう・・・。

    まあどうでもいいや・・・。」

私 「リンさんは、どうやって来たの?」

リン「地球人に連れてこられたんだよ。」

私 「へ?」


リン「太陽系外にいたんだけどさ・・

   小惑星が近くの惑星に引っ張られちゃったの。

   で、へんな軌道を描いて太陽系に。

   そして地球人の言う”イトカワ”とかいう小惑星にぶつかっちゃった。

   イトカワに住もうとしたらさ、なんか探査機とかいうのが来たんだ。

   で、許可もなく何かを打ち込みやがるんだよ、酷いよね!

   そしたら探査機の中に吸い込まれちゃった。

   まあ、拉致?とかいうのかな~、あはははは」


あ、笑ってごまかしてる・・

エネルギー体なのに拉致とはね・・


リン 「なによ!

    その可愛そうな!という眼差しは!

    しかたないじゃない! 

    休眠状態のときにやられたんだもん!」


あ、怒っちゃった。

そんなに睨まなくても・・

ん? 下を向いた。

どうしたのかな?? あれ?

あ、肩が震え始めた・・え?何で・・

ん? すすり泣き!!

え?! 何、俺、そんな泣かすような事したか?!


妻 「ヘッド!!」

私 「え? あ!! すまん!」


リンは鼻水をすすった。

リン「ぐすっ! ・・」


妻 「大変だったわね・・・」

リン「うん・・。」

妻 「それでどうしたの?」

リン「地球に来て、人間に話しかけたの・・」

妻 「そう・・・」

リン「でも誰も気づいてくれなくて・・」

妻 「大変だったね・・」

リン「・・・・」


妻 「地球人は私達を感知できないの?」

リン「そうなの。 本当に大変だった。」

妻 「・・」

リン「拉致の抗議をしても、住居の提供を求めても無視される・・」

妻 「酷いわね・・」

リン「困ったので周りに同胞がいないか探査して・・」

妻 「え? 居るの、同胞が・・」

リン「うん、エネルギー不足だったから500km位の範囲だったけど。

   一エネ体が・・・。」

妻 「よかったね。」


リン「そうでもなかった・・」

妻 「え?」

リン「助けを求めたの・・」

妻 「で?」

リン「無視された・・」

妻 「え!!」

リン「だから何度も事情を話し、やっと相手をしてくれた。」

妻 「酷い!」

リン「・・うん。でも、教えてくれたの。」

妻 「・・」

リン「人にはテレパシーが通じない、

   だから人の中に勝手に住め、と。

   宇宙法には抵触しないから勝手にしろと。」

妻 「・・」

リン「教えてくれた人に挨拶に行こうとしたんだけど・・」

妻 「拒否されたの?」

リン「うん・・」

妻 「そう・・大変だったね・・」


リンは妻に抱きつき泣き始めた。

妻は優しく背中をさすっていた。


妻 「あなたは優しいね・・

   私達はあなたのお陰で助かったわ。

   ありがとう。」


そう言って妻は優しくリンをすこし離して顔を見る。

そしてニッコリと微笑んだ。


リンがぱぁ~っとした顔になり笑顔になった。


あ、可愛い!!

そう思った瞬間、何故か妻が私の顔を見た。


妻 「あなた!! なに鼻の下をのばしてんの!!」

私 「へ!! あ、いや、その・・・」

妻 「まったく男ってやつは!」

私 「あ、ごめん。」


リン「仲がいいんですね。」

妻 「違う!!」

私 「?! え、ええ、えええええ~!!」

リン「?」

妻 「私が手綱を握らないとダメな奴なの!」

リン「そ、そうなんですか?!」

妻 「だから調教してんのよ!」

私 「!」

リン「え?! 今のは調教だったんですか?」


・・・あのね・・まあ、いいか・・


リン「ところで、どこに住みますか?」

妻 「ちょっと物件を見てみるわ。」

リン「おすすめは心臓かな?」

妻 「ありがとう。」


私達はリンの住まい《脳》を辞して家探しをした。

結局、リンが言う心臓とかいうところに落ち着いた。


そしてリンとはお隣さん交流をして親密になった。

まあ、近所付き合いは大切だよね。

リンでよかった。


ただね、リンから聞いた話だと人間は寿命が短い。

だから暫くすると引っ越すことになる。

でも人間はあちこちに居るので問題はないだろう。

住処はよりどりみどりだ。

とはいえ、自分達の周波数にあう人間を選びたいけどね。


さて、住処は決まったが、住処人間がどういう生物かよくわからん。

ちょっと調査でもしてみようか・・

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