第13話 まずは他の宇宙人を探して・・

 ヘッドはテレパシーを地球全域に発信する。

これはエネルギー体だからこそ、簡単にできることである。


 ヘッドは気楽なものだった。

これからの会議の事を全く考えていない。


 宇宙にはブロードキャスト(一斉通知)※1 する周波数がある。

周波数と言っても、地球人がいう周波数だけでなく、亜空間でも通るものが含まれている。

そのブロード・キャストを使用して、ヘッドは呼びかけた。


 「あ~、テスト、テスト、テスト!」


 「馬鹿野郎! ブロードキャストでテストすんな!」

 「どこの馬鹿だ!」

 「アホかお前は!」

 「このトンチキ野郎!」

     :

     :


 ヘッドの間抜けなブロードキャスト発信に、一斉に多数の反応があった。

まあ、それはそうだろう。

公共放送で、テスト などと間抜けな声で放送する馬鹿はいない。

いや、番組がない深夜にテストパターンを放映することもあるが、そういうことを言っているのではない・・。


 ヘッドは、返ってきた沢山の避難の声にこたえる。


 「あれ? ゴメン、聞いていた?」

 「当たり前だ、ボケ!」

 「馬鹿だろう、てめ~!」

 「ブロードキャストをなんだと思っている!」

 「ふざけんな!」

    :

    :


  これにも、律儀にお怒りの返事が返ってきた。


 「あははははは、ごめん、それでね、各種族の代表と話したいんだけど?」


 「おい、じゃあ、俺たちの代表はお前やれ。」

 「え? 俺?」


 「じゃあ、私達の代表は私でいいわ。」

 「え? なんでお前なんだよ!」

 「じゃあ、任せたわ。」

 「あ、こら! はめやがったな?」

 「あら、今更遅いわ、よろしくね。」

 「う! くそ、そういう事かよ・・。」


 「どうしよう、俺が代表やっていい?」

 「いいよ、面倒だし。」

 「あ、そう・・・。」


 「俺はヘッドっていうんだけど、今、3種族みたいだけだけど、他にいる?」

 「・・・」


 「いないんだね?」

 「・・・」


 「それじゃあ、自己紹介といこう。 俺はヘッド、エネルギー生命体。」

 「俺はA、まあ、からだがある生命体だ。」

 「私はB,俺も体がある生命体。」

 「おらはC、体あるよ。」


 それぞれが名前を言って、どのような生命体か自己紹介した。

え? 名前がA,B,Cは酷すぎるって?

だって、発音なんかできないよ、彼らの言葉(テレパシー)なんて?

試しに聞いてみる? 鼓膜が破れるかもしれないけど、それに聞き取れないだろうけど?

え、聞かなくていい、あ、そう。


 それと何? 何でエネルギー体かどうかだけの自己紹介なのかって?

まあ、それは作者の都合です。ご了承してください。

ご了承しなくても、無視します。


ヘッド 「皆、太陽フレアを感じている?」

A,B,C 「ああ、感じているよ。」

ヘッド 「どうする?」

A 「ほっとく。」

B   「地球生命が絶滅するのを待つ。」

C 「ほっとくさ。」


ヘッド 「Bさん、それは不味いんじゃない?」

B   「邪魔すんのか!」

C   「Bさん、宇宙法は知っている?」

B   「ああ、それが何か?」

C   「君一人だけの意見で、絶滅するかどうか決めるつもり?」

B   「う! だって誰も助けないんだろ!」

ヘッド 「おれは太陽フレアを防ぐよ?」

B   「黙れ! じゃますんな!」

C   「君、宇宙法廷に行く?」

B   「何だと! C,貴様も邪魔をするか!」

C   「いや、俺は地球がどうなろうとかまわない。」

B   「じゃあ、黙っていろ!」

C   「もし、宇宙法に抵触するものを、知っていて無視したらどうなる?」

B   「知らなかったことにすりゃ、いいだろう!」

C   「やはり、君があの指名手配のXYZだね?」

B   「ぐっ! 違う!」

C   「ああ、今、君の座標データが分かった。」

B   「あ、お前ら、誰だ!」


 その後、なにやらBの通信でドタバタする気配があり、やがて静かになった。


C   「いやはや、お騒せしました。彼は宇宙手配者XYZなので逮捕しました。」


ヘッド、A 「え?」

C   「彼は闇業者で、違法な手段で惑星を入手する指名手配犯です。」

ヘッド 「Cさんは宇宙警察ですか?」

C   「ええ、そうです。」

ヘッド 「ご苦労様です。」

C   「いえいえ、仕事ですから。では、私達は用が済んだのでここを離れますね。」

ヘッド 「では、あなたたち種族は、ここから居なくなるのですね。」

C   「ええ、あとはご自由に。」

A   「じゃあね、C」

C   「ああ、またねA」


そういうとCは居なくなったようだ。


ヘッド 「いや~、驚いた。捕り物があったとはね。」

A   「まあ、僕も初めて立ち会ったよ。」

ヘッド 「ちょっと興奮したよ。」

A   「ははははは、そうだよね、ところで何か用かい?」

ヘッド 「あ、そうだった。 太陽フレアは君は何もしないんだよね?」

A   「ああ、そのつもりだけど。」

ヘッド 「じゃあ、俺たちが太陽フレアを制御してもいいか?」

A   「ご自由に。俺たちは地球がどうなろうとかまわないよ。」

ヘッド 「わかった。好きにさせてもらうね。」

A   「うん、僕らは何も言わないし、手もださない、文句も言わないよ。」

ヘッド 「ありがとう。」

A   「じゃあね。」

ヘッド 「うん、さようなら。」


 ヘッドはブロードキャストをやめ、ため息をついた。


 「俺ってさ、人との交渉は苦手なんだよな~・・。」


 そう呟く。

さてと、妻のシャンへ報告しに行きますか。

あ、あとオマケにリンにも報告しないといけないかな?

でも、その前に酒でも飲んで・・・。

そう思った時だった。


 「貴方! 早く帰ってきて掃除しなさい!」


 突然、シャンからテレパシーで呼び出しが入った。

不味い・・・。


 「あ、俺、今会議中なんだけど。」

 「あら、そう・・、じゃあ、私挨拶だけでも・・。」

 「あ、いや、そ、それはいい・・、なんだ、その、お前も忙しいだろう?」

 「・・・、あ・な・た、嘘はいけないわよ~。」

 「うぐっ! ゴメン、直ぐに帰る!」

 「そう、それでいいわ、掃除よろしくね、あとゴミも出して。」

 「・・・はい。」


 肩を落とすヘッドであった。








====================

※1 ブロードキャスト:

不特定多数の人に、一斉送信すること。

(大雑把な解釈です。詳しい事は読者の皆様の方がご存じかと。)

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