第2話 住処探し

私達二人は、とりあえず地球で住処すみかを探すことにした。

今は地表に向け落下中だ・・・


え? 何?

私達の大きさが知りたい?

落下中に聞くこと? それ?

面倒だな~・・まぁ、いいけど・・

私達はエネルギー体生物のため大きさなんて無いよ。


広がろうと思えば地球位包めるし、小さくなると原子核位にまでなれる。

当然大きいとエネルギー消費が増える。

今は微生物位の大きさになっている。

これでいいかな?


さて、生命維持できる時間に余裕はない。

でも、地球探査くらいの時間は十分にある。

そのため地球での住処探しを試みている。


落下中だし、地表に辿り着く前に軽く探そうか・・

落下速度を遅らせよう。

重力波に対抗して、と、すこしだけ反重力を出して・・


あれ?! 妻は重力調整をしないで落下していく!


「をぃ! 速度をあわせろよ!」

「はぃ?! 何言ってんのよ! 先に言いなさいよ!」

「あ・・・、ごめん、言ってなかった?」

「本当にもう! あんたって人は!」

「すみません・・・」


ふ~・・と、ため息をつき速度を調節してくれた。

調整してくれたが、妻から不機嫌のオーラが出ている。

ま、いつものことだ気にしないでおこう・・か・・

う! 睨まれた・・

ごめんなさい!


反重力調整をすると、

重力が緩和され私達は地球の自転からずれ始めた。

そう、今、私達の足下にある地表は勝手に回っているように見える。


その状況で小惑星のかわりになる岩石がないかと探し続けた。

しかし、なかなかよい電磁波を出す岩がない。


え?

電磁波が何故必要かだって?

説明必要?

後にして、後に。

今は探すのに忙しいから、ね。


さて、困った。

足下を目まぐるしく回る地表にはメボシイ岩石がない。

広大な赤茶けた荒野にも、海の底にも、氷だらけの場所にも・・


妻が話しかけてくる。

「ねえ、無いわね。」

「そうだね・・・」

「強い電磁波を探すのはやめない?」

「・・・・」

「一度地上に降りて、微弱な電磁波をさがそうよ。」

「確かにね・・そうしようか。」

「うん。」


そう言って反重力を出すのを止める。

やがて地上に降り立った。

降り立った場所は地球人の言う日本という国らしい。


え?

何でそんな狭い所にだって?

ユーラシア大陸とか広い所があるのにって?

それを言う?

理由なんて簡単さ。

何も考えないで反重力をやめたら、そこに落ちただけさ。

バカじゃないかって?!

失礼な、何も考えてないだけだよ!


さて、降り立ったところは北海道というらしい。

ニセコ連峰とかいう場所に降り立った。

さてと、体を1Km位に広げて・・と。

う~ん・・

山とか、岩とか、適度な電磁波がないよな~・・


うん?

この生物は・・・おしいな~、ちょっと違う電磁波だな。

熊とかいうのかい? 君は。

え? 何、お前達は不味くて食えそうに無いって?

はぁ? 何いってんの?

食事ってなにさ?

ん?

鮭とか別の動植物を口に入れ消化する?

へ~・・面白い生態だね、君は。

え? 君だけじゃ無いの? 狐とか鮭も同じ・・?

あ、そう。

どうでもいいや、興味ないし。

何?

私達?

食べるという行為自体ないよ?

へんな生き物だって・・!?

失礼な、君達のほうがおかしいよ!

あ、こら、待て、言っておいて無視するな!

あらら、どっかへ行っちゃった・・

まあ、どうでもいいや。


妻は探しあてたかな、と、聞こうと横を向く。

・・・・

何で、私の横で大きさを変えず昼寝してんだよ!

え、何? あんたに任せたって?

・・・

まあ、いいけどさ?


何?

岩や山はあきらめようって?

まあ、そうだね、見つかりそうもないね・・

ん?

生物を探してみたら?・・

なぜに、そう思うの?

え? さっきの熊の電磁波?

ああ、そういえば、そうだね・・

じゃあ、地球生物が密集している場所で探そうか?

”そうして”って? え?

え? 君は探さないの?

任せたって?!

え・・? 何か文句があるのかって?

いや、あの・・・有りません・・です。

君は探している間はどうしているの?

へ? 僕の側を漂って寝ている?

なんですと!!

あ・・(^_^;;

いや、あの、その、それで・・いいです・・

はい!! 働きます! 

働きますから、やめて、そのジト目・・


と、いうことで・・探索・・

え? 何? また質問?

エネルギー体生物も人間と同じでカミサンが怖いのかって?

あたりまえじゃん!

女性は最強生物ですよ!

そうでしょ?

え? 納得? 

そうか~、君もそうなんだね

同志よ! 仲良くしよう。


では、微生物レベルに戻って、と。

? また、質問なの?

なんで大きさを変えるのかって?

さっき言ったでしょ、エネルギーの無駄使いだからだよ?


それでは生物の密集している場所に移動しようか・・


? なに?

漂うような速度でしか移動できないって言っていたと?

それなのに都会まで移動はできるのかって?

あのさ、地球には重力があるでしょ?

君達生物や物は重力で地球に縫い付けられているの。

え? 縫い付けられたら動けないって?

いや、物の例えだから、揚げ足とらないで、ね。

で、縫い付けられているから地球と一緒に回ってるの。

じゃ、縫い付けられた糸を緩めたら?

そう、回転している地球では位置がずれるでしょ?

それに地球には磁力があるでしょ?

じゃあ、体をS極にできたら?

そうだよ、私達は実態のないエネルギー体だよ。

そういうこと。自在に位置を変えられるの、僕たちはね。


説明はこれでいい?

じゃあ、移動と行こうか。

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