宇宙からの訪問者

キャットウォーク

第1話 地球へ

火星と木星の間に小惑星帯というものがある。

小惑星が浮んでいる空間である。


ある日、太陽系外から小石ほどの宇宙の欠片が太陽系に飛んできた。

欠片はこの小惑星帯に到達し1つの小惑星に衝突し砕け散った。


衝突された小惑星は、いくつかの小惑星にぶつかりやがて停止する。

ぶつけられた小惑星も別の複数の小惑星にぶつかりやがて停止する。

このように玉突き衝突が起こり、やがて静寂が訪れる。


小惑星に欠片が衝突することは珍しいことではない。

通常はこのように小惑星帯の内部で玉突き状態を起こし収束する。


しかし、衝突した小惑星は火星に近い外周の位置にあった。

運悪く静止できず1つの惑星がはじき出された。


私達は、その小惑星に住んでいた。

運が悪いとしかいいようがない。


その日、私は近所の友人と木星を愛で酒を飲んでいた。

上機嫌なほろ酔いで自宅小惑星に戻ってきたら、それが起きた。


玄関のドアを閉め、妻にハグをした時だった。


ガン! という音がした瞬間、

キャ! という声を上げた妻に押し倒された。


おお! 積極的な妻もいいな、可愛いな、と感激した。

だってほろ酔いだったし、夫婦だしね・・

そう思うでしょう?! 男性諸君?

・・・・


まあ、その直後、まともに後頭部を打った私は、

目から火花が飛び出し、頭の周りにヒヨコがピヨピヨと回った。


しかし、押し倒した妻は、私の胸ぐらを捕むと、

「ちょっと! 気絶している場合じゃないでしょ!」


怒鳴られ、揺すられ、私は目を覚ますこととなった。


「いったに何が起こった?・・」

「分からないわよ! こちらが聞きたいの!」

「・・・・」


妻と床で抱き合っていても仕方がない。

ゆっくりと二人で立ち上がる。


小惑星の中は一瞬の衝撃だけで特に破損はない。

ただ、机の上のカップが床に落ちて破損した位だ。


小惑星の周りを確認するため玄関に向いドアを開いた。


そこから見えたのは、遠ざかっていくご近所様の小惑星・・・


しばらく妻と二人で遠のいていくご近所の家を唖然と見ていた。

どうしようもない・・

さらば友よ。


それから数ヶ月後、私達の小惑星は地球に辿り着いた。

綺麗な惑星だ・・・

ただし運悪く地球の重力に捕まって引っ張られている・・


しばらくすると大気圏に突入し家が粉々に砕け散った。

ため息が出た。


え?

死んだのかって?

勝手に殺さないで欲しい。

私達はエネルギー体生物なんだよ?

熱や衝撃で死ぬことはない。

? 地球人なら死んでるって? そうなの?

軟弱なんだね。


ただ、まずいこととなった。

エネルギー体の私達は小惑星のエネルギーが必要だ。

住んでいた小惑星は微弱な電磁波を出していた。

その電磁波が私達には必要なのだ。

なければやがて衰退して消えてしまう。


電磁波を求め、地球から宇宙に飛び出すか・・・

それとも地球に降りるか、だが・・・

エネルギー体は漂う速度での移動しかできない。

なにかに住み、その住処すみかが動かない限りは・・


時間はあまりない。

月という惑星の電磁波は私達には合わないし・・

小惑星は、この近辺には無さそうだ。


とりあえず地球に降りてみよう・・

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