第18話 禁煙作戦 その2

 私は、10年間喫煙したのち、非喫煙者になりました。

 非喫煙者となって10年経ちますがその頃の事を思い出しながら書いてます。

 前章で書いた、ニコチネルパッチは私にとっては「当たり」のアイテムでした。

 とりあえず、朝貼ってしまえば、

「吸いたいけど吸えない」

ではなく

「貼ってしまった今日は吸えない」

と、思えたからです。

 吸える状況だけど、吸えないのは、我慢が出来ない私にはとても苦痛でしたが、吸えない状況で、吸えないのは半ば諦めに近い感情で、それほど苦痛ではありませんでした。

 タバコを吸ってはいけない島に今日だけ滞在しているみたいな感覚でした。

 ニコチネルパッチは、目に見えて大きな効果は感じなかったですが、もしかしたら無意識的に体には効果があり、吸えない状況でも無理矢理吸おうといった気持ちを抑える効果を発揮してくれていたのかも知れません。

 私は、ニコチネルパッチを貼る前は、

「貼れば、全くタバコが吸いたくなくなる」

ぐらいの効果を期待していました。

 簡単に禁煙出来るアイテムとして、かなりの高いハードルでの期待値がありました。

 しかし正直なところ、実感としてお伝え出来るほど、一発逆転的なインパクトは感じなかったですが、10年も喫煙してきて、さらに、1日2箱吸っていたヘビースモーカーだった私が禁煙することが出来たのは、

ニコチネルパッチというアイテムの効果

であるのは、間違いなく真実です。

効果を感じないけど、効果がある類のものなのでしょうか?

 しかし、それでも空いた時間に吸いたくなる気持ちは続いており、貼り忘れた日は空いた時間=喫煙時間となり、貼った日の空き時間は、何をしていいかわからない時間となりました。

 その二つの時間の過ごし方が、だんだんと天秤にかかって来ました。

 やっぱり、空き時間に吸いたくなくなる方がやや優勢になって行くのを感じました。

 行動的な依存とでも言うのでしょうか?

 外回りをしてて、時間が空くと吸いたくなくなる。その気持だけは、どうしても無くなりませんでした。喫煙者は、毎日、同じ時間に決まったとこで吸ってしまう。

という事はありませんか?

 私はありました。

 通勤途中のコンビニてタバコ吸うことが日課になっていました。

 毎日のルーチンでした。

 吸えない日は、そのコンビニの前はあえて通らない様にしたりしてました。

 歩きタバコとかがしにくい道をあえて選ぶみたいな事もしました。

 しかし、場所だけでなく、空いた時間にタバコを吸うというのもまた、私のルーチンでした。

 禁煙していると言うか、数日禁煙し喫煙し、また数日禁煙するみたいな日々がしばらく続きました。

 私の次の課題は、空き時間に吸いたくなくなるルーチンをどうするか?だったので、次は、空き時間を埋めれるアイテムを探しました。

 そこで出会ったのが、禁煙パイポです。

 グレープフルーツ味だったのかは曖昧ですが、そのような味の付いた禁煙パイポに出会いました。

 初めて禁煙パイポをくわえた時は、何だこれ?微かに味がする?程度にしか感じませんでしたが、くわえる度に徐々に味を感じる様になりました。

 その味を感じれる様になり、何故がそれにはまってしまいました。

 スーツの胸ポケットに禁煙パイポを差している、妙なサラリーマンが出来上がりました。

 車の渋滞中や事務作業中など、いっつも禁煙パイポをくわえていました。

 このことで、少しずつ私は空き時間を埋めれる様になって行きました。

 しかし、それでも禁煙を意識したときに吸いたくなくなる、意志の弱さが出てきてしまいました。

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