第11話 おいしかったねーのその先

 私はタバコを10年吸っていました。そしてやめて10年経過しました。例外はありますが、喫煙席に10年座り、禁煙席に10年座ってきました。

 私は、外食の時は食事を楽しむものだと思ってきました。

 どんな味がするのか?

 これだけが外食の目的だと思っていました。

 おいしいもの食べて、その思い出を語る際も

 「おいしかったねー」っと、味の事を99%語っていました。撮った写真もそんな感じでした。しかし、10年禁煙席に座ってきてある気付きがありました。外食は食事以外に雰囲気を楽しむものであるという事です。

 「おいしかったねー」の先にもう一つ楽しめる感情がある事に気付きました。

 綺麗で高級感があるところで食事が出来るというのもいつもと違った中華風なところで食事が出来るというのも外食の楽しみだったのです。

 「いい雰囲気の店があるからいこーよー」

 この意味がやっと分かるようになりました。

 タバコを吸うと集中力が高まる。

 私には、この集中力向上効果は絶大でした。仕事にしても、スポーツにしても、読書やゲームに関しても喫煙することで集中力を高める事が出来ました。特にスポーツに関しては、草野球をしていたのですが、喫煙することで打席に入った際の集中力の違いを体感出来ました。俗に言うゾーンに入る感覚。それが喫煙によって体感出来ました。非喫煙者になってからは、周りのヤジに気を取られたり、何かの影が気になったりと集中力を乱すことが多くなってきました。今まで集中力をタバコでコントロールしてきた私は、非喫煙者になってしばらくはコントロールの仕方が分かりませんでした。集中しなきゃいけない時になにか周りの細かいことも気になる・・・そんな事がよくありました。

 すこし話が逸れましたが、私が喫煙者だったころ外食の際は、店に入り注文するそして喫煙、喫煙中は灰にもやや気を使うのでほぼ机の上だけしか視野には入っていませんでした。つまり机に対して過度に集中していました。その後食事をし、食後喫煙、このときも机に集中。そして退店。ほぼ机しか見ていませんでした。さらにタバコの集中力向上効果で、灰皿だけは印象に残っています。あの店の灰皿はよく見かける銀の灰皿だった。。。過度集中状態です。

 非喫煙者になって外食に行くと、周りを見るようになりました。そして雰囲気を楽む事が出来るようになりました。イベント中ならばその飾り物をよく見て季節を感じるようになりました。今まで気にならなかった嫌なものも見えちゃいますが、それもまた楽しんでいます。

 非喫煙者になって気付いたことは、店は間違いなく、禁煙席の方がいい席を提供しています。極端な言い方をすると喫煙席は、端っこの景色もそれほど良くない箇所に固めている感じです。禁煙席に座るようになってその違いを実感できる様になりました。

 この店の一番いい席はどこか?と、いい席探しも楽しんでいます。その席は必ず禁煙席です。

 そして、いい雰囲気の店と言うのが少しだけ分かるようになって来たと思っております。とは言っても、私は非おしゃれなので、あくまでも自己満足ですが、お店の雰囲気も外食の楽しみになってきました。

「おいしかったねー」「ハロウィンの飾りが芸術的だったねー」

っと、少しだけですが「おいしかったねー」の先を楽しめてます。

 禁煙した直後は、食事に集中してなくて周りに気を取られているだけの様な感覚でしたが、次第にタバコに頼らずに集中力をコントロール出来るようになると、そういった時間を楽しむことも出来ました。

 もしかしてタバコは必要な時にだけ使うことが出来れば、いいものなのかもしれません。集中力を高める必要があるときにだけ一時的にその力を借りる事が出来れば、と思うことは今でもありますが、禁煙して非喫煙者になって、集中力を高めなくてもいいときに高まってしまう事は必ずしも良い事ではないと思うようになりました。

 しかし、それを許さない依存性がタバコにはあります。私はかっこいいからタバコを吸い始めました。友人も同じようにかっこいいから吸い始めました。そして彼は今でも喫煙しています。今その友人は、かっこいいかと言うと・・・

 

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