第26話 タバコと私

 最近、仕事ですごくストレスのかかる事がありました。

 私も反省する面もありましたが、かなり責められ精神的に参ってしまいました。数年ぶりにかなりストレスを感じました。

 自己啓発本に手を伸ばし、久しぶりに考える時間を持ちました。一言で表すなら、思い詰めている状況でした。

 そんな中でも、飲み会に参加しました。ストレス要素でない部署との飲み会で、飲み会自体にはストレスは感じませんでした。

 しかし、私の心のステータスは、「思い詰めている」なので、イマイチ乗り切れない、モヤモヤ気分でした。

 そんな中、話題は葉巻の話に。一箱700円ぐらいの葉巻を買って来た人がおり、葉巻のふかす楽しみ方をレクチャーしていました。

 一瞬、これなら体には悪くないし、ストレス解消になるかも。。。

っと、魔が差す瞬間を感じました。

 私は、葉巻をすったことはありません。

 ふかすだけの感覚もよく分かりません。

 あれは、タバコなんでしょうか?

 もし、タバコじゃないなら、、、


 結局、吸うことはありませんでしたが、まだこんなに吸いたいと思う気持ちが残っていたのかと、びっくりしました。

 タバコを辞めて10年経ちましたが、まだ私はタバコを吸いたい時がありました。

 もしかしたら、色んな要因が重なれば、また喫煙者に変わる瞬間が訪れるのでしょうか。

 この葉巻誘惑事件を通じて、まだまだ、タバコとストレスを切り離せていない自分を感じました。

 私の中では、タバコはストレスの特効薬という認識になっています。喫煙者の頃の、ストレス解消の効果が今でも鮮明に心に残ってしまっております。

 10年間喫煙者で居たときのストレスは、タバコの灰と煙と、共に消えていった気がしています。

 改めてメカニズムを考えると、今まで書いてきた効果だけではなく、喫煙には、記憶を消す効果かあるのでしょうか?

 タバコを吸うことでストレス解消しているのでは無く、ストレスの原因となる事柄を忘れているのではないでしょうか。

 人間は、忘れる生き物です。

 特に私は忘れやすい人間です。

 もし、そんな私に記憶を消す効果のあるタバコの効果が加わると、どれ程の思い出を忘れてしまったのでしょうか。

 タバコで、消えた思い出は思い出せないけど、タバコで思い出が消えた事は覚えています。これが私だけでなく、みんなそうならば、何ともタバコに都合のいいシステムなのでしょうか。

 思い出が消えた事は、少し残念でありますが、少し嬉しくもあります。

 昔、東京ディズニーランドで彼女とけんかした事は覚えていますが、なんでけんかしたのかは忘れました。いつ行ったのか、どこに泊まったのか、何を食べたのか、何に乗ったのか。。

 全て思い出せません。

 しかし、入り口のトイレ付近で彼女を待つあいだに、タバコを吸って落ち着いた事は鮮明に覚えています。

 喫煙後、また旅を楽しんだ様な気もします。特に楽しくなかった思い出ではありません。

 私が、完全にタバコと決別するには、忘れれる何かが必要不可欠な要素であると感じました。

 タバコでストレス解消とは、タバコを吸うと早く忘れる事が出来るという事なのでしょうか。

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