第33話 そして
私は、タバコを吸い始めた日から25年経ちました。また、やめてから15年経ちました。
改めて、自分でこの小説を読み返し感じた事は、私の半生は「タバコと共に生きてきた」と言っても過言ではないと感じました。
タバコで傷ついた体を癒す為にバファリン様を買い、のど飴を買い、甘い飲みものを買う。そしてまた、タバコで体を傷つける。そんな循環の中で生きてきました。
そんな循環で、私という人間の体が作られてきました。そしてタバコをやめた後もタバコの力から完全に逃れる事は出来ず、逃れる為にまた別の力を頼り、体を作ってきました。
そして時が過ぎ、私は45歳になりました。
私は、糖尿病と診断されました。
診断を受けて初めて糖尿病と、血糖値に関して沢山の本を読みました。タバコと共に生きてきた半生を振り返りながら読んだその本は、私から後悔や反省という感情を呼び起こしました。
タバコで傷ついた体を癒す為に口にした飴や、やめた後の口寂しさを紛らわす為のグミなどに代表される様に、タバコを吸っていなければきっと口にしなかった糖質達が、今私の体に蓄積し、とうとう限界を超えました。
間違いなく言えるのは、タバコによって口にした糖質、「タバコ糖質達」はタバコを吸わなかった人生であれば口にしてなかった糖質達です。
タバコ糖質達によって、糖尿病になり今からはもう、そのツケを払ってこれから生きていくのです。
結局は、タバコをやめてから15年経ちましたが、まだタバコの影響から完全に逃れる事は出来てなく、これからは、タバコ糖質達で作られてきたこの体と、糖尿病と、共に生きていく事になりそうです。
タバコの影響は、私の中にまだ深く残りゆっくりと確実にその牙を向き始めた様な気がします。
私には、タバコを初めて手にしたあの日、この結末は予想出来ませんでした。
そんな私ですから、この先も予想すら出来ない出来事に苦しみ後悔するのでしょう。
最近、「楽しい事をやらず我慢して、我慢して・・・そんな人生楽しい?」との趣旨の話を聞きました。
私はタバコと共に生きてきたこれまでの人生は、とてもとても楽しめてきました。タバコの煙と共に消えていったストレスもかなりあったと思います。
だから、タバコを吸った事は後悔が全てではないのですが、数々の薬を目の前に今、思う事は、あれはきっと「悪魔との契約」だったんだと思います。
健康や寿命を差し出して、ストレスなどの辛いことを煙に変え発散していき、快楽を得る。
悪魔とそんな契約を結んだんだと思います。
その契約が、返済時期に入り、これからは、住宅ローンのように、ただひたすらに長く長く返済をし続けていくのです。
タバコと共に生きてきた私の人生は、次のステージに進み、長く険しい山道の入り口に立っております。
煙と共に消えたハズの苦痛は形を変えて雨の様に降り注ぎ、険しい道へと変えていく。
私は、タバコを吸って10年、タバコをやめて10年過ごしました。
そして、その5年後に糖尿病になりました。
タバコを吸って10年、タバコをやめて10年 T-たっくん @T-takkun
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