第16話 落ち着かない

 私はタバコを10年吸い続けて来ました。

 就職してしばらくは机で吸えてましたが、その後机上喫煙は禁止になり、喫煙室での喫煙を強いられました。

 当時は仕事をしているときは、机に座っている事が常識でしたので、喫煙室に行く行為に対して、職場離脱じゃないか?と言う意見も聞こえて来ました。

 確かに、机上喫煙がオッケーだった頃は吸いながら仕事していたので、机上喫煙禁止になってからは、喫煙してるときは仕事してませんでした。

 日本人は、もしかしたら「ながら族民族」なのかも知れません。昔はタバコを吸いながらが当たり前で、現代はタバコが吸えなくなった事でタバコの変わりに、「ながらスマホ」になっているのでは?と思います。

 私も運転中に渋滞にはまった時、どうしたらいいか、未だに分かりません。喫煙者の頃は、吸えば空いた時間を埋めれたのですが、今はどうやって埋めたらいいのか分かりません。

 そしてどうしてもスマホに手が行きます。

 運転中のスマホは、とても危険なのは言うまでもありませんので絶対にやってはいけませんが、何かをしていないと落ち着かない私は、吸うことをやめるとどうしても触ってしまいます。

 何か時間を埋めるものはないでしょうか?

 吸うことをやめて10年経ちましたが未だに悩みます。

 話を戻しますと、それでも私の会社は、愛煙家の集まりでしたので、それほど大きな勢力ではありませんでした。

 しかし、ある日、総務課長が嫌煙家の方に変わった事で風向きが変わりました。

 そこから、

「休憩時間以外は職場離脱してはいけない」

となってしまいました。喫煙室に行く行為は職場離脱となってしまいました。

 幸い私は外回りをする仕事でしたので、事務所外では喫煙出来ましたが、帰社後はタバコが吸えなくなりました。

 彼は、かなりの嫌煙家だったのです。

 そこから、改革が始まり車内喫煙は当然禁止、残業時間中の喫煙は禁止になり私の吸える時間はどんどん減って行きました。

 前章で申しましたが、帰宅後も喫煙する場所も無く、職場でも喫煙が制限されて、いつしか私の周りは吸えない場所の方が多くなって来ました。

 現在では、どこでも吸える訳ではない前提で皆さんタバコを吸っていると思いますが、嫌煙運動が始まる前は、比較的どこでも吸えました。どこでも吸える前提でタバコを吸っていた私は、どこでも吸いながらの癖が付いてしまっていました。ながらが基本だったので、ちょっとした待ち時間ですら落ち着かなくなってしまいました。

 電話の保留で待たされるとかのちょっとした時間もまたどうしたらいいか分からない時間に感じていました。

 さらに、机上喫煙していた頃は横にいる同僚は非喫煙者でしたが、タバコに対して何も言われなかったのですが、嫌煙運動開始後は、飲み会の喫煙に対しても嫌がられる様になりました。

 そして、現在の様に喫煙者は端っこに追いやられて行きました。

 どんどん吸える場所が無くなっていった事により、リトルたっくん達の中で禁煙に関してまた考えるきっかけになりました。

 「とりあえずやめてみる」

というのは、絶対に失敗すると思っていましたので、作戦を考えて禁煙に望む事になりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る