北京ダックが豚という新説
各グループ持ち時間は10~15分程度でフェス自体の時間は3時間ほど。
午後1番に始まったこのフェスもそろそろ終わりに近づいてきている。
大手事務所からプッシュされている今売り出し中のアイドルのパフォーマンスがトリだ。
「少し早いけど出ちゃおうよ」
キミが帰り支度を整え誘ってきた。
出入口が混む前に外に出ちゃいたいらしい。
パフォーマンス中のアイドルグループにあまり興味のない私もキミからの誘いを特に断る理由もなく会場を出た。
会場から電車に乗り降り立った場所は横浜中華街の最寄り駅。
今日の宿は中華街の入口にあるちょっと良いホテルだ。
交通費をなるべく抑えて、宿は某ネット通販サイトのスーパーセールで安くなっていたところを更に大量に溜め込んでいたポイントを使い格安で泊まれる。
溜め込んでいたポイントをキミが見た時に「どんだけ…」とドン引きしていたのはここだけの秘密だ。
通された部屋はツインルーム。
中は思った以上に広くて綺麗でテンションがあがる。
窓の外はもう中華街だ。
荷物を置き、とりあえず整えられているベッドに倒れ込めば上からキミが覆いかぶさるように乗っかってきた。
「夕飯、ここ予約したから!」
うりゃー!と倒れ込んでいる背中に顔面を擦り付けられながらポイと投げられたキミの携帯には中華街では少し有名な中華レストランが映っていた。
「お、いいね。北京ダック食べよう」
お小遣いはたんまり持ってきた。
食事に使う金額は惜しまない予定なのだ。
普段では食べないちょっと良いもの食べたいじゃない。
「北京ダックって豚?」
「は?」
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