スエットの女神様

『IDOLフェスin横浜』

それは各地に点在しているご当地アイドルや地下アイドルが集合する大規模イベント。

MCは有名芸人、スペシャルゲストは有名アイドルグループといった具合にドルヲタ界隈では有名な年に1回の祭りだ。


当然、推しのにゃんだふる!とHoneyは参戦予定で彼女達が告知を始めた頃に知った私はチケット販売に完全に出遅れ、チケットを取るために奔走した。

その結果は惨敗だった。

譲ってもらえるようなコネもなく、横浜の会場側まで行き熱気だけでも楽しんでこようかと思っていたぐらいだ。


さっきは感情に任せて二つ返事でキミの誘いを受けたがチケットの事を思い出し鼻で笑ってしまう。

「いや、行くって言ったけどそのイベント、チケット無いと入れないから無理だな。」

神チケットなのだ…2人分なんか今からなんて絶対に取れない。

行くと言った手前、キミと横浜で買い物と食い倒れツアーでもいいか。と思って目を伏せればスマホの画面を掲げていたキミがもう片方のポケットからピンク色の画用紙のような素材の紙切れを取り出し渡してきた。


「え…お、おま、ここ、これ…!!」

「地元の後輩にご当地アイドルの子がいるの」

なんだよ、と差し出されたその紙を見て失禁するかと思った。

夢にまで見たフェスのチケット。

しかも、関係者や身内に渡すような特別なものだ。

ぺったんこの胸を偉そうに反らし、ドヤァと鼻の穴を膨らませているキミの顔とチケットを交互に見る。

神チケット通り越してチートチケット。

「横浜でフェスが終わってから遊んでくれるならあげる」

「うぉぉぉぉぉぉ、女神か?!女神なの?!」

ガバッとキミに抱き着き、わしゃわしゃと金髪頭を撫でれば腕の中でエヘへと笑う声が聞こえた。

「そんなん、いくらでも遊んでやるっ!

膝の上から逃げていって遠巻きから、人間ってキャッシュだよねー…。と言いたげな飼い猫の視線を感じたが良いんだ。


いざ行こう!遠征!!

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