キラキラエフェクト

キミに飲み物を買ってこい、と席を追い出されてからフラフラと物販や売店が並ぶエントランスまで出ていけば開演間近という事もあり幾分すいていて買い物がしやすくなっていた。

入場者も落ち着いたのだろう、入場口がごった返していた最初の様子とはだいぶ変わっている。


主催の公式ブースの前も人が居ないので見ていきたい気もしたが、遅くなればなるだけ烈火のごとく怒り散らすキミの姿が頭に過ぎるのでやめた。


「…っ、すみません…」

売店で横浜名物しゅうまい弁当とペットボトルの飲み物を2人分買って席に戻ろうとして踵を返したところで後ろに立っていた人にぶつかった。

「いや、大丈夫ですよ。君こそ大丈夫かい?」

返ってきた声はすんごいイケメンボイス。

ぶつかった相手を見れば、何これ、やだイケメン。

ものすごく整った顔で身長180センチくらいある良いスタイルで、淡いグレーのストライプのスーツを嫌味なくらいに着こなしている男にぶつかった。

スタッフが付けるネックをぶら下げているから関係者の人なのだろう。

芸能人か?すげぇな、キラキラしてら。

「大丈夫です。心配していただきありがとうございます。では…」

背後に少女マンガみたいなキラキラエフェクトを背負ったイケメンにぺこりと頭を下げて歩き出す。

生憎、イケメンにキャーキャーいう時代は終わってしまった私の好みは生活力のある男だ。

まぁお付き合いする基準の三大要素が

『仕事をしてる、殴らない、借金がない』の時点で、恋愛はしない方がいいと自覚してるから良いんだけどね。


「あ、ちょっと!」

イケメンから少し離れたところで再びイケメンに声を掛けられ足を止めた。

もうライブはもう始まってしまっていてトップバッターのグループの公演が始まっている。

「…なんでしょう?」

後ろから小走りで近付いてきたイケメンが私の横に立つ。

なんだこいつ。

首を傾げイケメンを見れば、マウスケア用品のCMが出来そうなほどキラキラした笑顔を向けられた。


「君、関係者席の方から出てきたのだろう?僕と一緒行こうじゃないか!」

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