概要
この一局で、私の人生は変わる。
感受性の強い主人公は、その性格が災いし、他人や自分自身を傷つけながら孤独を量産してきた。
大学時代の囲碁の大会で起きたとある事件により、彼の感情はほとんど消失する。
しかし、大学を辞めてから働き始めた職場での新たな出会いが、主人公に変化をもたらす。
囲碁を通じて、失った感情を取り戻していくさまを描いた、絶望と幸福を味わえる短編小説。
大学時代の囲碁の大会で起きたとある事件により、彼の感情はほとんど消失する。
しかし、大学を辞めてから働き始めた職場での新たな出会いが、主人公に変化をもたらす。
囲碁を通じて、失った感情を取り戻していくさまを描いた、絶望と幸福を味わえる短編小説。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~感情の揺らぎも不安も、茶褐色の液に溶かして~
『アイスティーにミルクを注ぐ時、私の感情は起動する』
文頭のこの一文に心魅かれる。
主人公がしばしば訪れる喫茶店で飲むアイスティーの清涼な茶褐色の液に、白濁したミルクが揺蕩う様は、元々は純粋な主人公の心に広がる焦燥と、心の変化を巧みに表現しているかのようだ。
主人公は高い学力を持つが、感受性が強すぎるあまり、トラブルを多々起こして孤独を量産してきた。両親との関係は、とてもぎこちない。
やがて、得意とする囲碁の大会で起こしてしまった暴力事件を皮切りに、彼の人生はどん底へ落ちてゆく。
彼女との別れ。大学の退学。引きこもり、無気力な労働、孤独はさらに量産される。
この期間の胸…続きを読む