第12話 金城視点 10月
最近、僕には月一くらいで、スイーツを食べに行く友達ができた。
彼女と初めて会ったのは、友達の青木とパンケーキを食べに行った時だった。
男二人でパンケーキ屋に入るのが恥ずかしくて、ためらっていたら青木の中学のクラスメートだったという彼女にご一緒させてもらった。
彼女は非常にさばさばした性格のようで、男子二人を前にして大口でパンケーキをほおばっていた。
そして一口一口を惜しむように『おいしぃ』と繰り返していた。さらに青木のパンケーキを一枚くすねて食べていた。
幸せそうな彼女を見ていて、彼女とスイーツを食べに行ったら楽しいだろうなとラインを交換した。
彼女からラインがくることはなく、いつも僕から誘い、彼女からは控えめで必要最低限な内容の返事しかこない。
会うたびになぜか彼女の好感度は上がっていった。しかし、だんだん不安な気持ちが大きくなっていった。
確か、二回目に会った時、青木が来ないと言ったら、『えっ、青木君、来ないの?』と驚いていたし、僕が筋トレしていることを話すと、自分のダイエットの話を延々と打ち明けてきた。
そこもまたかわいかったが、ここまできたら、誰だって気づくだろう。
彼女は僕を異性として認識していない。ただの気の合うスイーツ友達なんだ。
『告白して気まずい思いをするくらいだったら、このまま友達の関係でいたい――。』
少しバカにしていた、乙女チックなマンガのセリフを、今、頭だけでなく、全身で理解している。本当にごめんなさい。
僕が悪かった。謝るからどうしたらいいのか誰か教えて。
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