第5話 3月

 私は無事、S校に合格することができた。

 中学はセーラー服だったが、S校はブレザー制服に青のネクタイで、一昨年から女子のスラックスが採用され、スカートとどちらか選べるようになっていた。

 悩んで、試着して、もう一回悩んだが、スカートにした。

 太もものダイエットが間に合わなかったのだ。こんなことなら…

 サイズも、Lだとパツパツでカーディガンとか重ね着できないので、泣く泣くLLサイズを注文した。

 しかし、70kgのままだったら、LLでも危なかったかもしれない。


 お母さんは母校の制服を見て、『あら、ネクタイなのね。昔はリボンだったのに…。でも後は同じね。懐かしいわ。』と大喜びで、注文した制服が家に届くと、私より先に着て、鏡に映った自分に見入っている…。マジか…。


「ちょっとゆるいわね…。どう?お父さん。」


「とってもよく似合うよ。まるで女子高生だね。出会った頃のお母さんを思い出すよ。」


「やだ。お父さんってば♡。」


 どうにかして、この夫婦…。

 でも、私も55㎏になったら彼氏を作ろうと固く決心した。


 同じ中学からS校に進学したのは私一人。人間関係はリセットできました。

 さあ行くわよ!


     63㎏だ!






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