愛すべき姑息な人々1 姑息なダイエット

清泉 四季

第1話 中3・9月

一色いっしきって、いいやつだし、話も合うけど、デブすぎるよなー。」


「女子にデブって言っちゃダメだろ。少しぽっちゃりしてるだけだろ。」


「あれはぽっちゃりじゃ収まらないだろ。65kgはあるって。」



 九月の始業式も終わった下校中、本人がすぐ後ろにいるとも知らずに交わされてた、たわいのない男子の会話によって、私にダイエットの神が降臨した――。



 私の名前は一色友香いっしきゆか、中三女子、身長165cm、体重は――65kgどころではない。

 もともと68kgだったのが夏休みにだらだらしすぎて70kg近くある。

 自分でも太っていることはわかっていた。

 あごは二重だし、太もももヤバい。服もLLサイズだ。

 今まで痩せたいとは思ったことはあるが、行動を起こすことはなかった。

 なのに今日、クラスメイトの田代(デブって言ったやつ)と青木君(ぽっちゃりって言ったほう)にはっきりと言われて、ショックを受けるというのではなく、やはりそう思われていたか、と心は割と落ち着いていた。

 そっちがそう思うなら、やってやろうじゃないの。

 私はダイエットしようと決意した。



 顔を美人にしたい、とか背が高くなりたい、とか努力しても中学生では厳しい。 でも、体重を落とすことは今の私でも努力すれば十分可能だ。

 私は帰宅後、部屋にこもって早速計画を練った。



 基本方針として、痩せるためにかがむしゃらにダイエットするのは恥ずかしいので、こっそりと周りには知られないように進めることにした。

 一か月に1~2㎏、少しづつ痩せて、なんか知らないけどいつの間にかやせてました、という感じにしたい。

 急に痩せると体を壊したり、拒食症になったりするといけないしね。

 目標体重は、55㎏。医学的根拠はない。

 私とほぼ同じ身長のお母さんさんが55㎏だから、そこまでは大丈夫だろう。

 一年以上かけるつもりでじっくり取り組もう。

 まずは、お菓子禁止と食事をよく噛んで食べることにした。

 そして自分の部屋用に体重計を買って、毎日記録することにしよう。


     70kg、スタート。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る