第20話 猫竹屋

ねーこやぁー、ねこたけーぇ・・・・・・


ねーこやぁー、ねこたけーぇ・・・・・・


はい、まいど。


え、お姉さん猫竹屋見るの初めてかい。じゃ、おまけで一節ひとふし無料ただで切ってあげようか。


はは、律儀だねえ。じゃ、ちょうど貰っとくよ。


そうだなぁ、強いて言えば、節が立ってて、見た目が青々してる方がつね。うちのは全部そうだけど、まあお勧めはこれかな。


はいよ、あ、ちょっと離れて。刃物が危ないからね。


コウ、こんこんって切る前に叩いてやるとね、端によけるから、すかさずすぱっとやるんだ。


えっ、何がって、そりゃ猫だよ。猫。竹のふしふしの間に猫がいる、だから猫竹ねこたけって言うんじゃないか。変なこと聞くねぇ。


ほいっ!


おお、当たりだよ、お姉さん。白猫だ。


柄入りじゃないのはちょいと珍しいんだ。美人だろ?


はは、さっきから変なことにばっかり驚くね。そりゃ小さいよ、猫竹ねこたけの中にいる、竹猫たけねこだもの。豆柴とか、ティーカッププードルみたいなもんさ。生まれつきこうなんだよ。


餌かい?水で大丈夫だよ。猫って言っても動物じゃないから。2週間ばかしで竹筒が色あせてくるからね、そうすると竹猫もいなくなる。


ああ、ちょっと長くたせたければ、金平糖をやると良いってお客さんが言ってたかな。俺たちは運ぶのが仕事だからさ、自分じゃ飼わないんだ。


可哀想だって?


うーん、まあなあ。


でも、こうやって出してやらないと猫竹ねこたけの中で数年間微睡んだまま過ごして、何も見ないで死んでいくんだぜ。俺はどっちがましか、わからねえな。いや、俺だったらちっとでも珍しいもん見たいかな。


うんうん、可愛がってやってくれよな。


まいどあり!

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