第9話 蜂蜜屋
いらっしゃいませ。
よろしければお味見をどうぞ。本日は菜の花の蜂蜜です。
ありがとうございます。素直なお味ですよね。他の蜂蜜に比べてクリーミーなので、甘いものだけではなく塩気や癖のあるもの、例えばブルーチーズにもよく合うんです。
空いたスプーンはこちらへお入れください。
わ、素敵な時計ですね。これもしかして・・・・・・
やっぱり!うわぁ、蜜蜂と巣をあしらった時計なんて初めて見ました!って、申し訳ありません、お騒がせ致しました。
恐れ入ります。
お父様からのお祝いですか。素敵なプレゼントですねぇ。あまり見かけないデザインなのに、さりげなくて、お洒落。デザインに込められた意味も素敵ですし。
あぁ、蜂蜜と蜂は「無限」や「豊かさ」のシンボル、なんて言われておりますから。祝福にぴったりですね。
何も仰らなかったんですか?照れくさかったのかもしれませんね。
今日は、何かお探しですか?先ほどの菜の花の蜂蜜以外の蜂蜜でも、気になるものがあれば仰ってください。ご試食いただけます。
わぁ、お父様のお誕生日お祝い!
ふと思い立って、とは。お父様との絆を感じますね。
はい、よろしければお父様のお好みなどを伺って、蜂蜜選びをお手伝い致します。こういった小瓶の詰め合わせがギフト用では人気です。いわゆる食べ比べセットです。
青カビチーズがお好き・・・・・・となると、そうですね。最初にご紹介した菜の花蜂蜜はまずどなた様にも喜ばれる味かと。あとは、ぐっと濃いお色の、ヒースの蜂蜜はいかがでしょう。お味見をどうぞ。
そうなんです!仰った通り、黒糖のような、干した果物のような、濃縮されたコクが特徴です。菜の花とは全く違う味わいをお楽しみ頂けます。もう一種類分ですが、ここはお好み次第です。
軽い色味の木苺の蜂蜜か、濃い色味の蕎麦の蜂蜜がおすすめです。木苺は酸味が強めの軽やかな味わいで、蕎麦は木の実のようなまったりとした甘みが特徴です。お味見なさいますか?
楽しみに取っておく、というのは素敵なアイデアですね。他のお客様へもご提案させて頂いてもよろしいですか?
ありがとうございます!
お決まりですか?木苺ですね。承りました。お包みします。
ありがとうございました。楽しいお祝いのひとときをお過ごし下さい。
またお待ちしております!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます