第18話 仲居たちの休憩所

ああ、お疲れさまです。今日はもう上がり?


え、あたしは休憩。今日は丸一日だから。


ほんとよぉ。歳とるときついわ。ま、今日のお昼は暇だったから大丈夫よ。そちらのお店はだいぶご繁昌だったじゃないの。あたしたち、玄関で待ってたってすーっと目の前通り過ぎてそっち行っちゃうってみんなで言ってたんだから。


うふふ、良いことよね。そういえばあなた、隣のロッカー使ってた人覚えてる?うちの店の人よ、あたしくらいの。


そうそう。最近居ないでしょ、ちょっと病気しててね。若い頃無茶したから。


これよ、これ。お酒に煙草。まあそれ抜きじゃできない仕事だったしねぇ。


あら、言ったことなかったかしらね?あたしたち二人とも昔っから銀座でね、お店も一緒だったのよ。若い頃はお客さんにハワイに連れて行ってもらったりね、色々愉快にやってたわ。ハワイで会ったアメリカ人のハンサムな人達と写真撮ってもらったりなんかしてね。うふふ、お守りみたいにして写真持ってるの。


見せてあげましょうか。えーっと、これこれ。


やぁだ、褒めたって何も出ないわよぉ。でもほんと、いい男でしょ?


でね、まあマダムやるほどでもなし、結婚も出来たしってんでお昼の方の仕事に移ったんだけどね。別に示し合わせたわけでもないんだけど、お運びさんの派遣会社でもばったり、そこのロッカーの人と。


不思議でしょ?そういうことって、ねぇ、あるのよねぇ。


ああ、病気はね、しばらく休めば大丈夫みたいよ。あたしたちくらいになると、どこもかしこも痛んだりなんだりするんだから、ちょうど良いわよ、しっかり休んどきなさいって言ったんだけどね。


ええ、伝えとくわ。


はい、お疲れ様でした。

あっ!忘れてたわ、これお店で差し入れもらったのよ、良かったら食べて頂戴。


いいえぇ、私も頂き物だもの、気にしないでね。

またね。

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