第11話 蚤の市の写真家

こんにちは。とっても素敵な着こなしね。写真、撮らせてもらってもいいかしら?私の趣味のものだから、公開したりはしないわ。


ありがとう!何枚かまとめて撮らせてもらってから御覧に入れるわ。


ええ、自由に動いていてもらってかまわないわ。この蚤のフリーマーケットに出店している皆さんには撮影許可を頂いているし、他の方は映らないようにするから。



はい、お写真。すごくクールでしょ。自分のスタイルがあるのね。ここの雰囲気ともぴったりだわ。和服はよく着てらっしゃるの?


あら、おばあさまのお着物を。サイズ違いでも着かた次第でこんなにすっきり着られるものなのね。私も今度、久しぶりに着てみようかしら。


そうそう、ここは規模も大きめだから面白いお店も多いわよね。さっきは着物屋さんを見ていたようだけど、こういった所でも買ったりするの?


ああ、確かに。新品を誂えるとなると、ちょっと勇気がいるものね。リサイクル品ならお手頃よね。


私?趣味でね、70の手習いよ。最近の携帯は便利ね!写真だって簡単に撮れちゃうし、綺麗だし。


ああ、よければこれ、私のアカウントよ。おばあちゃんだからね、もう誰かのために着るものを選ぶのやめようと思って。そしたら同じようなこと考えてる人が他にもいるって孫に教わってね。一念発起して、SNSはじめたの。


あらっ!嬉しいわ。ありがとう。このアカウントね?後で今日のお写真を送ってもいいかしら?うふふ、お友達が増えるのはいくつになっても嬉しいわね。


似合うって言って貰えると嬉しいわ。お気に入りなの。南アフリカに行ったときに買ってきたのよ。日本ではなかなかない色使いよね。


まあ、そんなことないわ。若い人が地味な着物を着てると、しゃっきりして見えるし、お洋服みたいで新鮮よ。


そうだったの?そうね、歳をとると色鮮やかなものに元気づけられるのよ。だから他の人にも勧めたくなるのかもしれないわ。


ええ、あなたのスタイル、私はとっても好きだわ。


写真、送っておくわね。それじゃ、また会いましょ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る