第14話 慈恩の刀と竹内流
前回に引き続き、戦国時代の柔術、
南北朝時代に成立した
これは、江戸時代、
これには
例えば
ここからどんな技法が使われたかと言えば、(刀を抜く事をあきらめ)押さえられた右手を抜き外し、すかさず敵の喉を右手で押さえ、右足を踏みだしながら後ろに突き倒すような技だったようです。(バリエーションがいくつもありました)
また、中條流の流派の中心となる
残念ながら冨田家以外の系統での内容がわからないため、
この堤宝山という人は関東
詳細は省きますが、この流派の
この流派の体系のうち、もっとも多数の技があるのが
江戸初期の時点で
また、極意として互いに槍・太刀と甲冑で武装した状態から組討する技を伝えていました。この技は槍や
ただし先ほど書いたように、堤宝山流の柏木清三郎が活躍したのは安土桃山末から江戸時代初頭(16世紀末~17世紀初頭)です。そのため、それら
-----竹内流-----
さて、今回のもう一つの主題になります、
この流派の創始者、
竹内流ではその創流の様子を伝えています。
そして執行が続いたある時、ふと気が付くと目の前に一人の山伏が居ました。久盛はこんな深山に人とは、といぶかしげに思い、声を掛けると山伏は
「汝、常に武勇を好み、非力にして剛強を
と答えたので、久盛は喜んで望みを話しました。山伏は木刀を半分の長さ、一尺二寸(約36cm)に割り、
「これを帯せば
と言って二十五種類の
また
実際に久盛が神秘体験をしたかどうかはともかく、竹内流ではこのように伝わっていました。
※1
久盛の子、久勝は以下のように書いています。
「久盛は数百の流派を修行したが、どれも杭に繋がれた犬が廻っているようなもので、全く役に立たない。それに対して久盛の捕手は樊カイや張良(※2)の妙術に勝るものである」
つまり、久盛の時代にすでに捕手などの技が存在していたと考えれられており、自流がそれらより優れた武術であると主張しているわけです。
※2 樊カイも張良も劉邦の武将で、樊カイは武勇剛力の者として、張良は軍学の祖として武術関係の伝書でよく出てきます。
中条流関連の資料にあったとおり、竹内久盛以前にそれなりに体系化された捕手や脇差での組討の技はあったと考えられます。久盛もそういった技術を学んで、それらを土台に腰廻を創始したのだと思われます。
久盛の創始した
その他に、後ろから人質に取られる、二人に両側から掴まれる、腰の刀の柄を掴まれる、後ろから抱きかかえられる、など二十五種類の様々な想定の技があります。久盛の修行の逸話にあったように、竹内流の特徴として大きく前後に跳躍する動作がある事が知られています。一説では山深く足場の悪い土地での戦闘を想定しているなどと言われています。
竹内久盛は
ところで室町時代までの日本刀(※3)は、剣術で使用される場合
大太刀: 二尺五寸~三尺一寸以上(約75cm~約93cm)
太刀(中太刀): 二尺二寸~二尺五寸(約66cm~約75cm)
小太刀(脇差): 一尺二寸~二尺三寸(約36cm~約69cm)
小具足(小脇差): 九寸五分前後(約28cm前後)
の四種類ほどに分けられます。以上は刃の部分の長について、ざっくりとしたものですので「だいたいそんなもん」くらいに考えてください。とくに小太刀は流派によってかなり長さが違う場合があります。
ちなみに、剣術の資料を見ていると、真剣の場合は刃の長さで書いていることがほとんどなのですが、何故か木刀の場合は全長を書く場合と刃の長さを書く場合が混在していてよく混乱します。
※3 日本刀の分類としては太刀と小太刀、打刀などは形状、
太刀(中太刀)は
小具足については今回書いたので、次回は残っている小太刀と大太刀についてです。関東の話にはまったく登場しなかった中條流。戦国時代にどこで何をしていたのか?というところを話します。
追記
竹内流は、現在伝わっている流派の中で、文書で歴史が確認できる最古の柔術流派です。もうすぐ創流から500年経とうとしています。しかし、現代でも毎年古武道大会で竹内流の腰廻や棒術、剣術(
参考文献:
森田栄(1999)「堤宝山流秘書」NGS
高橋賢(1982頃)「幻の日本柔術 第21回~第25回」月刊空手道
「中条流兵法手鏡」富山県立図書館
「中条流兵法手鏡」個人蔵
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