概要
もしも、取り戻すことができない初恋をやり直せるとしたら。
二十一世紀初頭。不幸が重なり大切な人達を全て失い、一人生き残ってしまった青年、平井真。拠り所を失くし自殺を決意した彼は、ある日雨の中で、初恋の女の子にそっくりな女子高生に出会う。
彼女はいった。
「全てをやり直せるとしたら、あなたはどうしますか?」
気が付いたとき、彼の住む世界は五年の時を遡っていた。
全てを取り戻せると、そう思っていた。
──彼女が記憶喪失だと知るまでは。
彼女はいった。
「全てをやり直せるとしたら、あなたはどうしますか?」
気が付いたとき、彼の住む世界は五年の時を遡っていた。
全てを取り戻せると、そう思っていた。
──彼女が記憶喪失だと知るまでは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あなたの人生、色として例えるならば?
バラ色の人生、だとか。灰色の青春、だとか。黄金時代、だとか。
色は色々と、人生を彩るものです。
このお話は、人生お先真っ暗、いえ真っ黒になった主人公が初恋の人によく似た女子高生に出会って動き出すという、ありきたりと言えばありきたりな始まりです。
ですが。
散りばめられていく伏線。
優しく、けれど確実にこちらの心を突き刺してくる登場人物のセリフ。
丁寧に、確実に、形を成して紡がれる地の文。
人間心理の真理に迫りつつ、ロマンを突き詰めに突き詰めた文体。
それら全てに誘なわれ、ラストを目撃した時、あなたは淡い感慨に囚われることでしょう。
あるはずがなかった、けれどないはずがなかった青…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を超える愛達の物語。
タイムスリップと恋愛。この要素を取り入れた作品は現代文学で言えば『時をかける少女』、古典で言えば『浦島太郎』、漫画ならば『ドラえもん』など、枚挙にいとまがない。
不可能を超えて愛する者と再会するという要素でいえば、源流は『オルフェウス』や『イザナギとイザナミ』などの神話にすら遡ることができるだろう。
本作は言うなれば、それらの作品から丁寧に抽出されたエッセンス、熟練のバリスタの手による一杯の珈琲のような作品だ。
時をかける少女の如き青春の甘酸っぱさ。
浦島太郎を思わせる、愛の代償への苦悩。
オルフェウスやイザナギが黄泉路を行くが如く、主人公は愛するものを求め、過去の世界を直…続きを読む