あなたの人生、色として例えるならば?

バラ色の人生、だとか。灰色の青春、だとか。黄金時代、だとか。
色は色々と、人生を彩るものです。
このお話は、人生お先真っ暗、いえ真っ黒になった主人公が初恋の人によく似た女子高生に出会って動き出すという、ありきたりと言えばありきたりな始まりです。

ですが。

散りばめられていく伏線。

優しく、けれど確実にこちらの心を突き刺してくる登場人物のセリフ。

丁寧に、確実に、形を成して紡がれる地の文。

人間心理の真理に迫りつつ、ロマンを突き詰めに突き詰めた文体。

それら全てに誘なわれ、ラストを目撃した時、あなたは淡い感慨に囚われることでしょう。

あるはずがなかった、けれどないはずがなかった青春を追い求めた一人の人間の話、ぜひ一読ください。

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