主軸は現代ファンタジーで、現実からかけ離れた異能でのバトルが繰り広げられます。しかしその一方で現実の地名を使ったり、車を細かく描写することで、重厚なリアルも感じられます。痛快でありながら、異能バトルでありがちな設定のふわふわ感がない。この絶妙なバランス感覚が素晴らしい。
また、設定をうまく【ミステリー要素】として使い、読者の関心を引き、ストーリー以外での牽引も見事。ストーリーの緩急も鋭くついておいり、さらにはそこに主人公:麗の幼少時代のトラウマなどが重なり、物語と心の動きがリンクし、最高のカタルシスを演出しています。特にカーアクションでの熱い展開は必見。(マジで! 食い入るように読み進めたので! 私もこの作品をお手本にしたいと思いました)
途中何度か「え!?」と驚かされる部分がありました。あまりに衝撃的過ぎて、続きを読んでいいのかどうか躊躇うほど。でも読み進めた先にはご褒美が待っていました。
読者を良い意味で裏切り、良い意味で裏切らない。
それが徹底できている作品だなと思いました。
あと、これは余談と言うか、個人的な趣味趣向になるので全方位向けではないのですが、《超閾者》エクスライナー、《久遠の薄明》トワイライトなど、現ファン好きの心をくすぐるルビ振りがあり、それだけでもうテンションが上がりました。他にもいろいろありますし、「これかっこよくない!?」と紹介したいのですが、ネタバレになってしまいますのでこのあたりで。続きは本編でお確かめください!
短編なのに続きが気になってしまいます。
近未来の特殊な世界観を舞台に様々な事情を持つキャラクターたちの葛藤がこれから物語として紡がれていくのだろう──という想像を掻き立てられますね。
とても読みやすい作品だと思います。
オリジナリティの濃い設定ですが、読者を混乱させないために情報を小出しにする配慮があり、読み進めていく中で自然と世界が見えてきます。
登場人物たちの心理描写が巧みです。
直接的な表現ではなく、一挙一動から間接的にキャラクターの心情を伝えることに努めていて、趣と説得力のある描写となっています。
これが初投稿なんて驚きです。
次回作も楽しみにしております。