概要
届かなかった声も、流せなかった涙も。 君とだから、やっと前を向けた。
「音羽(おとは)」という名を持つ少女は、もう長い間、声を失っている。
心因性失声症――それは、心が傷つきすぎて、声が出なくなる病。
学校でも、家でも、誰も本当の痛みに、見て見ぬふりをしたまま。
いつしか彼女自身も、本名すら名乗れなくなっていた。
「音羽」ではなく、ただの「音」。羽を失った、自分。
そんな彼女の前に、ある日──かつての幼なじみ・清瀬 澪(きよせ れい)が現れた。
数年ぶりの再会に、音羽は何も言わなかった。言えなかった。ただ、目を伏せた。
けれど澪は、気づいていた。
彼女が、かつて笑い、話し、名前を呼んでくれた「音羽」だということを。
そして彼は、知っていた。
笑うことを忘れた人間の静けさを。
声を失うほどの痛みを。
――かつて命を絶とうとしたことのある澪だからこそ、
音羽の
心因性失声症――それは、心が傷つきすぎて、声が出なくなる病。
学校でも、家でも、誰も本当の痛みに、見て見ぬふりをしたまま。
いつしか彼女自身も、本名すら名乗れなくなっていた。
「音羽」ではなく、ただの「音」。羽を失った、自分。
そんな彼女の前に、ある日──かつての幼なじみ・清瀬 澪(きよせ れい)が現れた。
数年ぶりの再会に、音羽は何も言わなかった。言えなかった。ただ、目を伏せた。
けれど澪は、気づいていた。
彼女が、かつて笑い、話し、名前を呼んでくれた「音羽」だということを。
そして彼は、知っていた。
笑うことを忘れた人間の静けさを。
声を失うほどの痛みを。
――かつて命を絶とうとしたことのある澪だからこそ、
音羽の
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- ★★★ Excellent!!!苦しみを乗り越えて、輝く世界へ!!!
エリート進学校、その内情に分け入ることは決して容易ではない。
しかし、筆者独自の経験と視点から開示された特異ないじめの実態は、静かであり過酷なものだった。
その環境において、まるで人間関係のクレバスに落ちたかのように声を失った少女・音羽ちゃんが、不思議なオーラをもつ転校生・澪くんと出逢う。偶然のような必然性。なぜなら、澪くんもまた、大変な背景を背負っているからだ。
思春期真っ只中の二人が、互いにひかれあいながら、時にそれをよすがとし、それぞれの苦しい現実を必死で乗り越えてゆく。
若い二人でありながらも、互いに依存せずに己の足でしっかりと大地を踏みしめること、その大切さを理解している。これがな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自分自身の声を持つことの大切さを教えていただきました!
高校生の音羽は、スピーチ大会に向けて努力を重ねてきたのにも関わらず、信頼していた人に裏切られ(冷たく突き放され)、やがて心因性失声症となって声を発せなくなってしまった。
そんなある日、彼女の前に澪という名の男の子が現れる。
彼は、明るく真面目で英語が上手……すぐにクラスの人気者になるが、常に音羽を気遣うように立ち回る。
どうやら二人は、かつて出会ったことがあるようだ。
澪はその時の思いから音羽を守ろうとするのだが、彼もまた、心を追い詰められることの苦しみを、身を持って知っていたのだった――。
声を出せなくなった音羽と、生きることを制限され続けてきた澪、二人が互いを優しく支えながら自分自身…続きを読む