第1回ーオシャレな服を買いまshowー①

 かわいい金魚達を立派に育てるためには、誰かの協力が必要だと思った。しかし、金魚が女の子の姿になって同居することになった等と言って、信じてくれそうな友達に、心当たりはなかった。本当は水草姉妹という隣に住む幼馴染が頭に浮かんできたが、今日だけはいけない。姉の羽衣とは喧嘩したばかりなのだから。羽衣は『うい』と読む。明日には仲直りの連絡をするつもりだが、妹のあおいちゃんが言うには、明日の午前中が仲直りの連絡を入れるベストタイミングだという。緊急事態ではあるが、今日1日は仕方がない。母音だらけでありながら、真っ平らな水草姉妹を頼るのは、明日以降にすることにした。

 僕は考え、今日中に解決すべき課題を2つ上げた。その1つ目が服装だ。僕の服を着せているから、目のやり場に困るようなことはないが、かわいい金魚達には、かわいい格好でいてもらいたい。それに、そうしないと外へ連れ出すこともままならない。折角の夏休みを家の中だけで過ごすのは、幾らかわいい金魚達のためとはいえ、青春の無駄遣いだ。

 そこで、かわいい金魚達のために、オシャレ大会を催すことにした。

「オシャレ大会?」

「面白そう!」

「わーい、おしゃれ、おしゃれ」

 かわいい金魚達のマスターとして、まず僕がしてあげようと思ったのがこの企画だった。皆、思った以上に喜んでくれた。オシャレをすることは、女の子にとっては特別なのだろう。

「おしゃれ、おしゃれ、おしゃーれっ!」

 特にはしゃいでいたのは奈江だった。そういえば、妹もショッピングに行く時は、テンション高かったよなぁ。

「でっ、で、どうするの?」

 ルールは簡単。1人1万円で、着るものをネットで買うだけ。靴と上下またはワンピースの全身コーデに、アクセサリーは自由選択制。制限時間は19時までの40分。そうすれば、明日中には荷物が届く。それとは別に、女性用の下着を僕がプレゼントすることにした。下着類は体型によって価格の幅が広過ぎると思ったからだ。

「自分の身体のサイズは僕が測るから、把握しといてね」

 こうして、第1回ーオシャレな服を買いまshowーが幕を開けた。

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