第1回ーオシャレな服を買いまshowー②

 かわいい金魚達が女の子の姿となってからの1時間ほどは、ずっと裸を見てきた僕だけど、それだけで下着のサイズが分かる訳ではない。真っ平らに近い、奈江や由依は断定的にAだとしても、他の4人は相当に大きいのだろうが、実際に測ってみないと分からない。

「ゆとりは小さめに見えたけど、意外にもEだって」

 僕の顔は、喜びのような感情につい歪んでしまう。ゆとりはかわいいけど、金魚に過ぎない。ましてや彼女でもない。だけど、その大きさににやけてしまうのだ。

「マスターのお好みは、何カップなのですか?」

 答えにくい質問を、平気な顔でしてくるのだから、かわいい金魚達には悩まされる。僕は、答えを濁して、残りの3人も測ってあげた。まりえと優姫はF、あゆみは堂々のHだった。胸囲だけなら僕以上で、服が歪むのも無理はないと、改めて思った。

「見えない部分の服にまで気を使わないといけないなんて」

「人間の女の子って、思ったより気を使うのですね」

 ブラジャーの話題で盛り上がっているうちに、制限時間はあと30分となった。それにしても、学校では女子とこんな話は出来ない。それが、かわいい金魚達とは出来てしまうという意味で、僕は立派なマスターではなかったのだろう。かわいい金魚達の人権というものについて、全く深く考えていなかった証拠なのだ。だけど、この時の僕は、僕なりには必死だった。つまり、目の前の課題を1つ1つクリアーにしていかなければならなかったのだ。不安が全くない訳ではない。だからこそ、楽しみたいと思う気持ちが強かっただけだ。言い訳すればそういうことになる。

「ちょっと、マスター。聞いてるの?」

 由依に突っ込まれて、時が経っているのを認識した。10分ほどではあったが、パソコンに表示されている時計が進んでいた。

「ごめん。ちょっと考えごとしちゃって」

「ふーん、もう6人とも注文終わったわよ」

 それは意外だった。妹が服を買う時は1日かかる。それが、経ったの10分で終わるとは思ってもいなかった。僕のかわいい金魚達が決断に要する時間が短いのは、あれこれ考えずに僕のことだけを考えてくれているからだと思うようになったのも、この時ではなく、もう少し後のことだった。どんなオシャレをしたのかは、荷物が届いた時に確認することにした。

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