Vol.3 記憶のなかの肖像画
3-1 阮咸
ふんどしだった。真っ白なふんどしが一丁、長い竿のさきにぶらさげられて、阮様のお
ジャン、とひときわ強く秦琵琶がかき鳴らされた。秦琵琶に応えるように、ビュウと強い風が吹いた。風に吹かれて、ふんどしが竿から飛ばされ空高く舞い上がった。
一瞬だった。阮様は「
逃げられた、と気づいたのは日が傾いて「まだ帰りませんか」と下男に皮肉を言われてからだった。僕はそれまでずっと、そのまま部屋で阮様が帰ってくるのを待っていたのだ。若かった僕は、それぐらいの
※
三国時代の
俗世から超越した態度や
同じく
リュート型の弦楽器・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます