3-4 石崇
「これかい? これは
高くないかって? アッハッハ、それは高いさ。目が飛び出るほど高い。
しかしね、私は人間の人臭い匂いが一番嫌いでね、ふけとか垢とか汗とか、特に口臭なんてのはもっとも
で、君が噛んでいるそれはどうだい。いい香りだろう? それも南で採れるものさ。
いろいろ試したけれども、香木は南のものに限るね。
そうそう、彼女たちのも嗅いでいったらどうだい。噛香は全員それぞれちがうものを使わせているんだよ。
顔は美しく似て衣装も装飾も等しくし、けれど
アッハッハ、なんだい近寄られただけで
ハハア、それはそうだ。あの陛下に美が理解できるかどうか、はなはだ怪しいものだ。おっとっと、君、黙っておいておくれよ。もちろんタダでとは言わないさ。
そうだ、ついでにこれも見ていくといい。そら、そこの
ハッハッハ、そう、君の言う「白いところ」全部だ。よく見たまえ、上に沈香の粉がまいてあるだろう。さて、挑戦する者は? よろしい、やってみなさい。
――フン、ぎりぎりだったね。だが成功は成功だ。あれを。
わかるかい? 粉の上を踏んだ跡なく渡り切れれば良し、この真珠でできた首飾りをくれてやるのさ。真珠の数? 百だよ。
何、つまらないものだが、私は細い軽い女こそ美しいと常々考えていてね。こうして褒美を与えて、細く軽くなるよう励ましているのさ。人を動かすにはともかく褒美が一番だよ、君。よくよく覚えておきたまえ。
それにしても、いやはや、君は美しいものを知らなすぎる。それで絵なんて描けるものかね。どれ、私を描く前に、うちの女たちの一人か二人、習作に描いていったらどうだい」
※
富豪の多かった
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