概要
「人の男の妻になる前に、わたし、神様と恋を語りにゆくのよ」
出征していった兄の身代わりとして、金魚の婿をつとめる少女と、彼女の花嫁に仕える少年。
ふたつの婚礼に翻弄されるほかないふたりは、海神の姫君として祀られる金魚をめぐり、海辺の街をさまよい歩く。
――あなたが守ろうとしたものの、今際の名残を見てみたかった。なにせこの街は明日、神様ととことわに袂を別つ。
(完結まで予約投稿しています)
ふたつの婚礼に翻弄されるほかないふたりは、海神の姫君として祀られる金魚をめぐり、海辺の街をさまよい歩く。
――あなたが守ろうとしたものの、今際の名残を見てみたかった。なにせこの街は明日、神様ととことわに袂を別つ。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!信仰と伝統の家の娘と、俗世と実利の家の息子の、幸せな政略結婚
物語の舞台は終戦直後の日本のどこかにある町・乙浦。
この土地には金魚を姫君として祀る伝統があって、その伝統を守る祭司のような役割を担っていた緋瀬家の少女・緑が主人公です。
戦死した兄の代わりに当世の金魚と結婚した緑ですが、戦争が終わったことによって、金魚とは離婚し、実業家である七橋家の、つまり人間の男性と再婚することになります。
乙浦の町は一見するととても綺麗で、戦争なんかどこか遠い世界のことであったかのようで、金魚のひらひらとした美しさやびいどろの金魚鉢の涼しさなどもあいまって幻想的な異世界のようにも思われますが、それは緑が守られていたから。今まで目隠しをされたように暮らしていた緑は、この…続きを読む