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     冒頭から、金魚の姫君に婿として仕える血筋、という設定に、お伽話めいた雰囲気を感じて惹かれました。終戦や昭和というワードに少し驚いてしまったほど、最初は遠い時代や世界の物語のように感じました。登場人物たちの言葉遣いや屋敷の調度や街並みの細やかな書き込みが、セピアがかった世界観を醸していて、金魚鉢のモチーフと相まって水槽の中の箱庭を覗き込むような感覚も覚えました。
     緑の鬱屈めいた思いについて、最初は「乙姫様」を見捨てることへの不満なのかと思っていたのですが、読み進めるうちに、彼女は「乙姫様」の存在を信じていなかったのだな、と解釈しました。大人たちが作り上げた都合の良い物語だと認識していて、大人の都合で役割を押し付けられたり取り上げられたりすることの欺瞞を感じている。古い時代の終わりと共に、兄に託された世界も終わってしまうようにも感じていて、そのことへの後ろめたさや反発なのだ──と解釈しました。
     そんな、少女が現実を知って旅立つお話でも、美しく切ないものであったでしょうが。最後の花嫁御寮で明かされた「真実」が美しくも優しくて、目が熱くなりました。兄や先祖たちが守ってきたものが欺瞞のない真実であったことはもちろん、姫御前たちから祝福をもらえたことが緑にとって何よりの救いであり解放だったのだろうと思います。幸せな花嫁として嫁ぐことができて、本当に良かった、と思いました。
     とても綺麗な物語を堪能させていただきました。ありがとうございました。

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    金魚を婿に貰う…不思議な物語ですね。続き読んでみます

    作者からの返信

    こんばんは、遅ればせながらコメントありがとうございました。
    姫御前と呼ばれる金魚と婚礼を挙げる、それも兄の身代わりとして……というのは、ある種の異類婚姻譚、あるいは逆縁婚のくくりかとも考えつつ、執筆しておりました。
    結末まで読んでいただけたようで、嬉しく思っております。お気に召していただけたらよいのですが。
    また別の物語でも、おつきあい願えましたら幸いです!

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    私も読みながら涙が出てきました……姫君たちの姿が浮かんでくるようで。なんて美しい光景なのでしょう!
    >「今でもわたしにいっとうの贈り物をくださった、わたしの婿君をあなたよりも愛してる。だからあなたも、あなたの婿君をきっと愛してさしあげて」
    ここ、めちゃくちゃ好きです!

    作者からの返信

    もともと、このシーンを書きたくて書き始めた物語でした。
    人力車が海辺の道を走っていく最中、ふわりふわりと金魚の姫御前たちがお里帰りを……と。そしてそれを見送ることしかできない花嫁を、と。
    ですので、お気に召していただけとても嬉しいです……!
    あげていただいた一文も、悩んで何度か調整した箇所でした。

    最後までおつきあいくださり、ありがとうございました!
    (また、レビューにもお礼を! 丁寧に作品を表現してくださり、嬉しかったです!)

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    うわ~~~~そういう流れ、そういう結婚だったのか~~~~!!!
    予想外の展開にびっくりしました! なるほど、緋瀬の家と七橋の家はそうやって結びつくのですね!!
    朝彦……超重要キャラどころか主役じゃないですか……一周回って彼の物語でもあるということに今回の更新でようやく気がつきました。
    それにしても、この作品の前半部分ではまるで緑の周りには戦争なんてなかったかのような美しさがあったのですが、つまり緑が目隠しされていたということだったんですね。街の今の本来の姿にどきっとしました。

    作者からの返信

    こんばんは、遅まきながらコメントありがとうございました!

    そうなんです、そういう結婚でした。
    土地に根付いた……とはいえ、そもそもは江戸期に他の土地から移ってきた七橋の家の商いを長年支援してきたのが、古い素封家である緋瀬の家にあたります。朝彦を緋瀬が預かったのも、公にはその縁から……となりますので、今回の結婚はこれから斜陽の次代を迎えていく緋瀬に対する、七橋の恩返しゆえの結婚でもあり、両家が結託するための婚礼でもあり、というか。
    序と終以外は一貫して緑の視点で話が進むので、仰るとおり目隠しされた彼女の視野に入ってくるもの以外は書かずに話が進んでいくのですが、ようやく終戦後一年を経ようとする街の現状は、それなりに悲惨です。

    ですので、きっと七橋家の人間であり、物語の渦中の一人であり、また目隠しをする側の朝彦の視点から見れば、まったく違った話になるのだろうなと思います。