もみじな彼女と平凡な俺と

　異類婚姻譚……とはいっても、相手はかなり「人」に近い存在ですが、所々この世のものとは思えぬものが垣間見える。それはまるで、着物の裏勝りのように、一見平凡な日常が続く中に、奥ゆかしくちらりと見える。それが、この物語の大きな魅力の一つなのではないでしょうか。

あと、ヒロインの造形に注目。文章中ではなかなかの美貌だと書かれていますが、読んでいくと、その「内面の可愛さ」にくぎ付けになること間違いなし！
キャラクターの魅力がなかなか出せないで悩んでいる作者様方にも、お勧めできる一作でもあります。

　もっと続きを拝読したかった、と思える作品。主人公の平凡さとヒロインの彼女の特別さが対になっていて、とても作りこまれた作品だと分かる。
　公務員の俺は、夏祭りで迷子を捜していて、彼女と出会う。それはとても美しく印象的な出会いだった。彼女はとてもカワイイが、動物には懐かれない。そして、何故かカレーはカツカレーがスタンダードだと思っている。飛び抜けた美貌と抜群のスタイルを持つ彼女。アルバイト先ではそのおかげで困ったこともあったが、何とか乗り越える。
　照れた彼女は、こめかみの少し抑える癖があり、「食べちゃうぞ」と主人公の薬指を噛む。おかげで主人公は、皆から「結婚指輪？」などとからかわれる始末。そ…続きを読む

『カツカレーの彼女』そう呼ばれているのは常に着物をした黒髪の、ちょっとズレたところのある可愛らしい女性。そんな彼女の正体は…
人間と人ならざる者の恋愛を描く異類婚姻譚である今作。ヒロインが兎に角魅力的なんです。感覚がどこかズレていて、だけどそんな中にも不思議な可愛らしさがあります。
だけどこの話は悲しい結末になる事の多い異類婚姻譚。読み進むにつれてこの二人は上手くいくのかとつい心配になってしまいます。だけどそれでも互いを思いやる主人公とヒロインを見ていると、つい頑張れと応援したくなる。そんな恋のお話です。

　古風でちょっと天然、人間離れしたピュアさで、凛としていて、おっぱいが大きい。

　それが本作のヒロイン。ただし、人間ではない。鬼女である。

　でも可愛らしくて、急にエロいこと言い出したり、でももしかしたら、付き合ったら（本当の意味で）喰われちゃうかもしれない。そんなヒロインとの恋愛を描いた短編です。


　紺藤さんの描くヒロインは、男性目線では、現実に有り得んくらい可愛い女の子が多いのだが、反面そのせいで恋愛ストーリーはじれじれと進まない。が、今回は、どうしちゃったんだというくらい、あれやこれやのｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ。

　普通の人間の男子と、鬼女が付き合うという、ヤバい内容にもかかわらず、…続きを読む

生まれ育った長野県が嫌いだった。
「雪女」とか「天の羽衣」とか、昔話が嫌いだった。
嫌いだ、嫌いだ、と言い続けて、今年で29歳。
“嫌いだ”は“嫌いだった”に変わっていた。――本文より抜粋――

含み在る冒頭から始まるは長野市役者に勤める何処にでも居る平凡な独身男性”オイカワユウキ”と善光寺で運命的？　な出会いを果たした謎の美女の恋物語。

今どきではありえない程の純粋でどこか世間知らずな彼女、そんな『ありえない』可愛さをリアルに表現しつつ、まるで自分が主人公になったかのような気持ちで作品にのめり込んでいける感情表現の豊かさが素敵です。

果たして彼等の異種婚姻譚の先に待つのはハッピーエンド…続きを読む