もっと続きを拝読したかった、と思える作品。主人公の平凡さとヒロインの彼女の特別さが対になっていて、とても作りこまれた作品だと分かる。
公務員の俺は、夏祭りで迷子を捜していて、彼女と出会う。それはとても美しく印象的な出会いだった。彼女はとてもカワイイが、動物には懐かれない。そして、何故かカレーはカツカレーがスタンダードだと思っている。飛び抜けた美貌と抜群のスタイルを持つ彼女。アルバイト先ではそのおかげで困ったこともあったが、何とか乗り越える。
照れた彼女は、こめかみの少し抑える癖があり、「食べちゃうぞ」と主人公の薬指を噛む。おかげで主人公は、皆から「結婚指輪?」などとからかわれる始末。そんな微笑ましい生活を送っていた中、彼女は本業へと向かう。
そしてその仕事で、彼女は大怪我を負ってしまい……。
「雪女」や「天女の羽衣」伝説が息づく場所で育った主人公は、異類婚譚が嫌いだった。しかし今は気にならない。
果たして彼女の本業と、正体とは?
レベルの高かった「民俗学部門」の中でも秀でていると思う作品でした。
とても読みやすく、キャラクターに惹かれてしまう自分がいました。
是非、是非、ご一読ください。
古風でちょっと天然、人間離れしたピュアさで、凛としていて、おっぱいが大きい。
それが本作のヒロイン。ただし、人間ではない。鬼女である。
でも可愛らしくて、急にエロいこと言い出したり、でももしかしたら、付き合ったら(本当の意味で)喰われちゃうかもしれない。そんなヒロインとの恋愛を描いた短編です。
紺藤さんの描くヒロインは、男性目線では、現実に有り得んくらい可愛い女の子が多いのだが、反面そのせいで恋愛ストーリーはじれじれと進まない。が、今回は、どうしちゃったんだというくらい、あれやこれやのゴニョゴニョ。
普通の人間の男子と、鬼女が付き合うという、ヤバい内容にもかかわらず、中学生みたいなデートをする二人と、でも真面目に結婚のこととかも考えちゃうスパイスの効きが、尋常ではない面白さを醸し出している。
男性読者として言わせてもらうと、これ、やばいくらいに突き刺さります。ヒロインが可愛すぎる!
生まれ育った長野県が嫌いだった。
「雪女」とか「天の羽衣」とか、昔話が嫌いだった。
嫌いだ、嫌いだ、と言い続けて、今年で29歳。
“嫌いだ”は“嫌いだった”に変わっていた。――本文より抜粋――
含み在る冒頭から始まるは長野市役者に勤める何処にでも居る平凡な独身男性”オイカワユウキ”と善光寺で運命的? な出会いを果たした謎の美女の恋物語。
今どきではありえない程の純粋でどこか世間知らずな彼女、そんな『ありえない』可愛さをリアルに表現しつつ、まるで自分が主人公になったかのような気持ちで作品にのめり込んでいける感情表現の豊かさが素敵です。
果たして彼等の異種婚姻譚の先に待つのはハッピーエンドかそれとも――?
長野県を舞台にその魅力と切ないラブストーリーを紡ぐ作品『もみじな彼女と平凡な俺と』是非読んでみて下さい。