平凡で平平たる俺はあの日、妖異で妖美な『カツカレーの彼女』に恋をした―

生まれ育った長野県が嫌いだった。
「雪女」とか「天の羽衣」とか、昔話が嫌いだった。
嫌いだ、嫌いだ、と言い続けて、今年で29歳。
“嫌いだ”は“嫌いだった”に変わっていた。――本文より抜粋――

含み在る冒頭から始まるは長野市役者に勤める何処にでも居る平凡な独身男性”オイカワユウキ”と善光寺で運命的? な出会いを果たした謎の美女の恋物語。

今どきではありえない程の純粋でどこか世間知らずな彼女、そんな『ありえない』可愛さをリアルに表現しつつ、まるで自分が主人公になったかのような気持ちで作品にのめり込んでいける感情表現の豊かさが素敵です。

果たして彼等の異種婚姻譚の先に待つのはハッピーエンドかそれとも――?

長野県を舞台にその魅力と切ないラブストーリーを紡ぐ作品『もみじな彼女と平凡な俺と』是非読んでみて下さい。

その他のおすすめレビュー

三上仁詩季さんの他のおすすめレビュー42