異類婚譚なんて、嫌いだった。

 もっと続きを拝読したかった、と思える作品。主人公の平凡さとヒロインの彼女の特別さが対になっていて、とても作りこまれた作品だと分かる。
 公務員の俺は、夏祭りで迷子を捜していて、彼女と出会う。それはとても美しく印象的な出会いだった。彼女はとてもカワイイが、動物には懐かれない。そして、何故かカレーはカツカレーがスタンダードだと思っている。飛び抜けた美貌と抜群のスタイルを持つ彼女。アルバイト先ではそのおかげで困ったこともあったが、何とか乗り越える。
 照れた彼女は、こめかみの少し抑える癖があり、「食べちゃうぞ」と主人公の薬指を噛む。おかげで主人公は、皆から「結婚指輪?」などとからかわれる始末。そんな微笑ましい生活を送っていた中、彼女は本業へと向かう。
 そしてその仕事で、彼女は大怪我を負ってしまい……。
 「雪女」や「天女の羽衣」伝説が息づく場所で育った主人公は、異類婚譚が嫌いだった。しかし今は気にならない。
 果たして彼女の本業と、正体とは?
 レベルの高かった「民俗学部門」の中でも秀でていると思う作品でした。
 とても読みやすく、キャラクターに惹かれてしまう自分がいました。
 是非、是非、ご一読ください。

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