概要
嘘の匂いを嗅ぎ分ける力で、郵便小姓として宮廷の闇を追う。
そこで出会うのは、陽だまりの香りを纏う騎士。
惹かれてはいけない、正体を明かせない。なのに、この気持ちだけは偽れない。
父の無実も、この恋も――真実にできるのか。
男装×ロマンス×宮廷お仕事ミステリー
【カクヨムコン11 ライト文芸部門】
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!罪を着せられた父が守った真実とは?
尊敬する父親が断罪され、すべてを失った主人公。
けれど、彼女はそれでも父を信じてこれまでの自分と決別し、男装して宮廷に潜り込みます。
郵便小姓という役職で手紙を運ぶのですが、彼女には特殊な能力があり、臭いで嘘を嗅ぎ分けることができます。
それによって父の真相にも近づいていくのですが、そんな彼女と親しくなっていく人たちもいて、彼女は自身のついた嘘にも苦しめられます。
言えるはずもない恋心を秘めつつ、父を陥れた人たちの陰謀に立ち向かう姿は健気でいて力強く、応援したくなります。
手紙の仕組みや細かい設定などが凝っていて、ファンタジーならではの楽しさもあります。
文章も整っていて読みやすく、すぐ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!”手紙”を軸に真実を求めるミステリー
”手紙”をきっかけに人生ががらりと変わり、男性――”セシル”として宮廷の郵便職員になった主人公と、
同じく”手紙”によって人生が変わってしまった騎士、エドガーの二人を中心としたファンタジー世界を舞台にしたミステリーです。
タイトルにも入っている手紙というキーワードを丁寧に使われていて、
プロットがとても秀逸な物語になっています。
(語彙力がなくて申し訳ないのですが、うっかり言い過ぎてしまうとそれがネタバレになってしまいそうで書けない…。と、とにかく読んでください!!)
一幕の間に物語の最初に提示された目的から
セシルとエドガー二人の関係性の変化、真相までを綺麗にまとめられており、
読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!陽だまりの香りに包まれて。
主人公の父親が処刑されるところから、この物語は始まる。父親の無実を信じる主人公は、特殊な嗅覚を武器にその真相に迫ろうとしていた。そんな主人公はパン屋の前で騎士の男性からパンを貰う。その騎士からは、陽だまりの匂いがした。そして主人公は王宮で郵便物を扱う郵便小姓を募集していることを知る。主人公は名前を変えて男装し、見事に郵便小姓になることに成功する。
手紙の仕分けには、主人公の嗅覚と観察力が存分に生かされた。そして主人公はこの手紙の配達の仕事を通して、王宮内の事情や人間関係を知っていく。そして主人公の難局には、あの陽だまりの匂いがする騎士が助けてくれた。そんな中、主人公は父に無実の罪を着せ、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!男装✖︎特殊能力✖宮廷✖お仕事✖ミステリー✖ドキドキする恋!
セシリアは父親の無実を証明するために、宮廷内にある郵便室に潜り込みます。
ただし、郵便の仕事ができるのは男性のみ。
セシリアは髪を切り、胸にサラシを巻いて、少年の姿になります。
この設定だけでも、ワクワクしますよね!
父親の罪の真相を探る謎解きのドキドキ感と、男装がバレてしまうのではないかというハラハラ感が、物語を盛り上げます。
さらには、セシリアには心の感情を嗅ぐことのできる能力があります。
嘘の香り。焦りの香り。動揺の香り。拒絶の香りなどなど。
その能力は、郵便の仕事にも発揮されます。
手紙から潮の香りを感じ取ったり、行方不明の手紙を匂いから追跡したり、小包の中のものを当てたり。
これ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!残された『香り』を手掛かりに、少女は偽りの姿で真実を探し求める
感情を『香り』として読み取る能力を持つセシリア。
彼女は獄死した父の冤罪をはらすため、郵便小姓のセシルとして王宮へ入り込みます。
手紙に残る香りから持ち主を知ることが出来るセシルは、王宮内で手紙を配達しながら、父の死に関与したであろう人物の手掛かりを探すことに。
なぜ父は罪に問われ口を封じられたのか。
父がしようとしていたことは。
証拠として残された手紙の謎とは。
第二王子と肖像画の人物、さまざまな謎を解きながらセシルは真実を暴き出していきます。
香りに隠された真実とは?
脳裏に浮かび上がるような香りの表現が、主人公の感じる感情を共に感じさせてくれるような感覚があります。
男装のセ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!男装少女と香りが紡ぐ、真実を知る物語
父親が無実の罪を被せられ、家も何もかも失ってしまった少女セシリア――唯一彼女に残された香りから様々なことを読み取る能力を武器に、男装をして宮廷に乗り込む。
重たい宿命を背負うセシリアですが、真っ直ぐで一生懸命に仕事をする姿はひたむきで、香りから様々な人々と交流していき、世界が広がっていきます。触れ合う人々とのつながりはじんわり温かく、読んでいるとほっこりと和みます。
何よりセシリアの香りが感じとるシーンがとても美しく、彼女の感じたことが生き生きとしていて、温かさや嬉しさも全部、香りを通して読者も同じように感じられる。そんな素敵な言葉であふれています。特に焼きたてのパンとひだまりの香り――…続きを読む - ★★★ Excellent!!!己の弱さと向き合って
父を陥れられ、すべてを失ったセシリア。
冤罪の真相を知るために男装し、セシルと名を変え宮殿へ――という物語です。
セシルには香りを嗅ぎ分ける特技があり、それは異能と言っていいレベル。
彼女が感じるのは新しいインクや古びた羊皮紙の匂い。そして人の焦りや恋さえも――!
誠実であれ。それがセシルの父の教えでした。
しかしセシルは身分も性別も偽っています。嘘をつくたびに口中に苦い偽りの香りが広がります。
父の名誉のために、父の教えに背く……そんな自分にセシルは揺れ動きます。
しかしこの物語、登場人物みんなが胸に様々な機微を抱えているのです。
人生の重圧。失敗への恐怖。我欲。
みずからの弱さと戦…続きを読む