概要
その汚名を晴らすため、少女セシリアは髪を切り、名を捨てた。
男装の郵便小姓「セシル」として王宮に潜り込んだ彼女の唯一の武器は、人々の感情を「匂い」として嗅ぎ分ける特異な嗅覚。
手紙に染み付いた偽装の焦げた匂いと、嘘の腐臭を辿り、彼女は宮廷の深層に眠る陰謀へと近づいていく。
そんなセシルの前に現れたのは、陽だまりの香りを纏う近衛騎士エドガー。
互いの正体を、そして秘めた想いを香りの奥に隠しながら、二人は一通の手紙に封じられた真実へと手を伸ばす。
嘘に塗りつぶされた王宮で「真実」を届ける、男装×宮廷お仕事ミステリ×ロマンス
【カクヨムコン11 ライト文芸部門】
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!嘘の匂いを嗅ぎ分ける少女と陽だまりの騎士。幕間まで一瞬も目が離せません
同じ「香」をモチーフにする書き手として、嫉妬するほど鮮やかな設定と展開でした。
主人公セシルは、嘘を「腐った果実の匂い」として嗅ぎ分ける能力を持った郵便小姓(実は男装した少女)。
彼女が父の無実を晴らすために宮廷に潜入するのですが、この「香りで嘘を暴く」というミステリー要素が本当に秀逸です。
証拠品に残る焦げた匂い、犯人がまとう甘く腐った香油の匂い……。目に見えないはずの「嘘」が、彼女の鼻を通してありありと浮かび上がってくる描写は圧巻。「次はどんな匂いがするんだろう?」と読み進めてしまいます。
そして何より、彼女を守る近衛騎士エドガー。
彼から香る「陽だまりの香り」に、読んでいるこちら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!確かな筆力に唸らずにはいられない、香りが紐解く唯一無二の王宮ミステリー
無実の罪で死を迎えた父の汚名を晴らすため、セシリアは髪を切り、少年セシルとして名も性別も人生も偽り、郵便小姓の仕事を得て王宮に潜り込む。
人々の感情を「匂い」として嗅ぎ分ける特異な嗅覚で、父が巻き込まれた事件の手掛かりを探すのだが──?
***
この作品と出会った衝撃は、もう言葉では言い表せません。
「香り」に着目し進んでいく設定の面白さはもちろんですが、特筆すべきは、筆者の確かな筆力でしょう。
感覚的にしか捉えられない「香り」を、驚く程ふんだんに文章に盛り込みつつ、それが邪魔にならずに登場人物や場所の輪郭を作るのに効果的に作用しており、素晴らしいとしか言いようがありません。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!探し求める手紙の匂いは、父を殺した嘘の臭い
どんな時でも正直に生きなさい。
そう語った父は、冤罪によって獄死しました。名誉も、財産も、家名までをも奪われて。
一人娘のセシリアは、着の身着のまま路頭に迷うことに。
残された物は一つだけ。人の真意を嗅ぎ取る能力です。
教えを守って誇りに死ぬか。
嘘に生きて明日へと繋ぐか。
セシリアは性別すら詐称し、王宮に住み込むことに。
身分は郵便小姓。手紙を集め、届ける仕事です。
日々集まってくる手紙の匂いはさまざま。
喜怒哀楽、そして――――くすぶる陰謀の臭い。
静謐な空気感の中で進行する業務は、たしかな手触りであふれています。
穏やかながらも起伏に富み、核心に迫れそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!罪を着せられた父が守った真実とは?
尊敬する父親が断罪され、すべてを失った主人公。
けれど、彼女はそれでも父を信じてこれまでの自分と決別し、男装して宮廷に潜り込みます。
郵便小姓という役職で手紙を運ぶのですが、彼女には特殊な能力があり、臭いで嘘を嗅ぎ分けることができます。
それによって父の真相にも近づいていくのですが、そんな彼女と親しくなっていく人たちもいて、彼女は自身のついた嘘にも苦しめられます。
言えるはずもない恋心を秘めつつ、父を陥れた人たちの陰謀に立ち向かう姿は健気でいて力強く、応援したくなります。
手紙の仕組みや細かい設定などが凝っていて、ファンタジーならではの楽しさもあります。
文章も整っていて読みやすく、すぐ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!”手紙”を軸に真実を求めるミステリー
”手紙”をきっかけに人生ががらりと変わり、男性――”セシル”として宮廷の郵便職員になった主人公と、
同じく”手紙”によって人生が変わってしまった騎士、エドガーの二人を中心としたファンタジー世界を舞台にしたミステリーです。
タイトルにも入っている手紙というキーワードを丁寧に使われていて、
プロットがとても秀逸な物語になっています。
(語彙力がなくて申し訳ないのですが、うっかり言い過ぎてしまうとそれがネタバレになってしまいそうで書けない…。と、とにかく読んでください!!)
一幕の間に物語の最初に提示された目的から
セシルとエドガー二人の関係性の変化、真相までを綺麗にまとめられており、
読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!陽だまりの香りに包まれて。
主人公の父親が処刑されるところから、この物語は始まる。父親の無実を信じる主人公は、特殊な嗅覚を武器にその真相に迫ろうとしていた。そんな主人公はパン屋の前で騎士の男性からパンを貰う。その騎士からは、陽だまりの匂いがした。そして主人公は王宮で郵便物を扱う郵便小姓を募集していることを知る。主人公は名前を変えて男装し、見事に郵便小姓になることに成功する。
手紙の仕分けには、主人公の嗅覚と観察力が存分に生かされた。そして主人公はこの手紙の配達の仕事を通して、王宮内の事情や人間関係を知っていく。そして主人公の難局には、あの陽だまりの匂いがする騎士が助けてくれた。そんな中、主人公は父に無実の罪を着せ、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!男装✖︎特殊能力✖宮廷✖お仕事✖ミステリー✖ドキドキする恋!
セシリアは父親の無実を証明するために、宮廷内にある郵便室に潜り込みます。
ただし、郵便の仕事ができるのは男性のみ。
セシリアは髪を切り、胸にサラシを巻いて、少年の姿になります。
この設定だけでも、ワクワクしますよね!
父親の罪の真相を探る謎解きのドキドキ感と、男装がバレてしまうのではないかというハラハラ感が、物語を盛り上げます。
さらには、セシリアには心の感情を嗅ぐことのできる能力があります。
嘘の香り。焦りの香り。動揺の香り。拒絶の香りなどなど。
その能力は、郵便の仕事にも発揮されます。
手紙から潮の香りを感じ取ったり、行方不明の手紙を匂いから追跡したり、小包の中のものを当てたり。
これ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!残された『香り』を手掛かりに、少女は偽りの姿で真実を探し求める
感情を『香り』として読み取る能力を持つセシリア。
彼女は獄死した父の冤罪をはらすため、郵便小姓のセシルとして王宮へ入り込みます。
手紙に残る香りから持ち主を知ることが出来るセシルは、王宮内で手紙を配達しながら、父の死に関与したであろう人物の手掛かりを探すことに。
なぜ父は罪に問われ口を封じられたのか。
父がしようとしていたことは。
証拠として残された手紙の謎とは。
第二王子と肖像画の人物、さまざまな謎を解きながらセシルは真実を暴き出していきます。
香りに隠された真実とは?
脳裏に浮かび上がるような香りの表現が、主人公の感じる感情を共に感じさせてくれるような感覚があります。
男装のセ…続きを読む