概要
そこで平和に暮らす平凡な高校生、木藤拓斗は、ある晩、人通りに少ない路地で巷で噂になっていた『銃弾通り魔』と呼ばれた、多数の腕を持つ異様な怪物に襲われてしまう。
そんな彼の目の前に、その怪物を討伐しに大剣を携えた蒼髪の少女が唐突に現れる。
彼女の名は剣崎遥。
そこで遥がとった行動は、彼の肉体を文字通り【盾】にすることであった。
しかし、肉体を【盾】にする代わりに、と彼女はこう言った。
「私はお前の命令を一つ、叶えなきゃいけないんだ……どんなものでも」
剣な彼女と盾な彼が紡ぐ、現代ファンタジー
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ここに最強の剣と盾がある。片方は文字通り、人間の盾だけど。
その身を挺して仲間を守る、盾役というのがあります。
大抵は自己犠牲の美談になったり、はたまたゲーム世界では敵の攻撃を一身に引き受ける頼もしい前衛だったり。
本作は、両方です。
自分の体を敵前に投げ出すわけですから、一回死にます。しかも自分の意志ではなく、一方的に盾代わりにされています。何てこった。ひどい話です。
……しかしそれがきっかけで、本当に『盾』役として超常的なパワーを与えられて生き返り、ヒロインを守る役目をおおせつかりました。はっきり言って非凡です。そんな出会いアリかよ。窮地を救ってボーイミーツガールなら数あれど、死してなお復活させられて盾を強制させられるとかアリかよ。
半ば無…続きを読む - ★★★ Excellent!!!運命的な大剣使いの美少女と、その盾となる俺の出会い。
大剣を用いて鬼退治する美少女と、その盾になった主人公の物語。バトルシーンはカッコよく、学校生活は楽しく、時にシリアスでもある、いろいろな魅力が凝縮されたような作品。
題名にもなっている遥は、人間の魂魄が異形となって人を襲う「鬼」と日夜戦っていた。そこ居合わせた主人公は、遥の文字通り「盾」になり、共に敵を倒すこととなる。二人の関係は主従であり、同居人であり、クラスメイトでもある。そして主従関係はどちらが上か……。主人公を「盾」と呼んでいた遥が、主人公との関係を通して変わっていくところも見どころだ。
そして敵も一枚岩ではない。「鬼」は元は人間であり、たとえ異形となってもその人間を想う人間が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!実は私……私、あの、この人の……『下僕』なの
主人公木藤拓斗と、ヒロイン剣崎遥の出会いを軸として、導入部としての1章が終了した本作『剣崎遥は盾を所望する』。気のいい友人たちと危ない先生、イッてる母親(笑)に囲まれたお人好しの主人公とデレる彼女といった人物相関図は、ある意味ライトノベル的とでも言いましょうか。表面的には、わいわいがやがやと賑やかな作品になっています。
タイトルだけ見れば所望するほうの遥が上位で、盾になる拓斗が、それに付き従う立場のような印象を受けますが、“一方的な主従関係は良くない”ということで、両者の権利は至極平等だとか。戦闘中は剣たる遥が主人、プライベートでは拓斗が上位と、男女“所望”機会均等法にのっとった公平ぶりは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!タイトル通りの意味というのが逆に斬新
作者様が掲げるタイトルと帯を見て比喩だと思って読み進めたら、実は喩えでもなんでもないそのままの意味だったというところに、まず意表を突かれてしまいました。
盾って、まさに盾になることだったんですね。
物語はいきなり引き込みの強いシーンから始まり、さらにプロローグの締めの「剣崎遥の、『盾』となった」という意味不明な気になる一文に心を掴まされました。
遥の盾となった拓斗ですが、物語が進むにつれて守る道具でしかなかった『盾』の力は、やがて遥を守ろうとする意志の強さへとその意味を変えていきます。
面白おかしい日常、バトルの緊迫感、ときに泣ける切なさ。
読者を楽しませる要素がたっぷり詰まった、ある種王道…続きを読む