鬼と云われる存在とその狩り手

第6話 鬼と云われる存在とその狩り手 -01

    ◆




 次の日。


「ほらよ」


 ホームルームが始まる前の教室で、拓斗は静に登校中に購入した缶ジュースを投げ渡す。

 勿論、その姿はキーホルダーマスコットであるパルンちゃんではなく、元の人間の姿であった。そうでないと缶ジュースなど投げられないどころか買うことすら出来ないのだから。


「……これは何だ?」


 静はその缶を見事に右手でキャッチすると、不思議そうにその缶を見つめた。


「何って、昨日の賭けの商品だよ」

「賭けって……あれか? 通り魔に襲われるかってやつか?」

「そうだよ。で、これを渡したことから分かると思うけど、襲われた」

「はぁ? 嘘つくなよ」


 静は全く信じていない様子だ。

 実際、拓斗は今でも、昨日のことが信じられなかった。

 しかしそれは間違いのない、現実のことだったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る