概要
食卓から生まれる「想い」がある。
音楽を生業にしたい祐介は、メジャーレーベルからのデビューを目前にして、組んでいた親友に去られてしまう。夢が潰えたことと、親友の成功を喜べない自分の器の小ささに凹み、コンプレックスに荒れる日々。そんな時、マンションの隣室に住む女性・ミサトと知り合う。そこでけんちん汁を振る舞われたことがきっかけで、それ以来夕食を彼女の部屋でとるようになる。年上であろう彼女は、年齢、出身、本名さえわからない。料理も特別凝ったものではなく、いわゆる普通の家庭料理。その上彼女は母親のように口うるさい。だが祐介は足繁く彼女の部屋を訪れる。それは何故――?
アルファポリスの第5回ドリーム小説大賞(2014年)にて「大賞」を受賞しました。
アルファポリスの第5回ドリーム小説大賞(2014年)にて「大賞」を受賞しました。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「いただきます!」君とそう言える幸せ
淡々とすぎる人生に思えて、どんな人にもドラマはある。そのドラマが丁寧であたたかみ溢れる文章で綴られていく。
人はたった一人では生きてはいけない。
親がいる。子がいる。
友人がいる。恋人がいる。隣人がいる。
憎からず思っている人がいる。
顔もみたくない人がいる。
つながりは皆千差万別。人生の機微も色いろ。
出会いや別れが、どんな風に転がっていくのか誰にも分からない。けれどその途中で、たった一人の大事な人に出会えるかもしれない。その誰かと一緒にごはんを食べられる幸せを噛み締めて、今日も僕らは生きていく。
「いただきます!」そう言える幸せをかみしめて。
じんわりと暖かな気持ちが胸のなかにひ…続きを読む