第十四話:収穫した作物で料理を作る
異世界のチート能力で一ヶ月足らずで実った農作物を収穫した。
小麦はともかく初めて見るじゃがいもやかぼちゃ、大豆に農民達は戸惑っていた。
この手の異世界トリップ物なら日本の料理を披露して現地の人達の舌を唸らせるが、俺はしない。
この手の料理もテクノロジーブレイクになってしまう。と言うか俺もやってしまった。
実際にインドで農業指導してた時に、収穫した作物を使って日本料理を作ったら、現地の子供達が俺の日本料理を気に入って地元の郷土料理に拒絶反応示すようになった事件があった。最終的には俺が現地の食材で郷土料理を作ることでなんとか修正できたが、下手したら食わず嫌いの餓死者を出したかもしれないと指導員に大目玉を食らった。
日本の地元でこの手の話をすると大げさだと笑うが、一緒に手伝っていたイギリス人のエピソードと写メを見せるとみんな絶句する。
イギリス人にも日本料理食べさせ、故郷のイギリスに帰ったら、故郷の料理がまずくて何も食べれなくなって栄養失調で入院した。
出会った当初は80kgあった体重が再会した時には52kgまで落ちていた。
日本食が買えるお店が出来て、それで食いつないでいるが輸入品なのでエンゲル係数が上がったと愚痴ってた。
ともかく、ウルの国にある調味料を使って料理を作る。じゃがいもは簡易の蒸し器を使って蒸し芋に焼いてとかしたチーズやマスタードを付けて食べさせる。
初めて蒸したじゃがいもを食べた皆の反応は白いパンのように柔らかい食感と驚き、石のようにみえることから、賢者の石パンなんて付けられた。
注意点として種芋と芽や変色したじゃがいもは毒なので食べないように注意する。
かぼちゃはこの時代の包丁だと斬りにくいので斧で豪快に割る。まずは茹でたかぼちゃを潰して水煮した大豆を混ぜた物、蒸したかぼちゃ、大鍋で鶏ガラから出汁をとり、マッシュルームやじゃがいも、大豆を混ぜたパンプキンスープを作る。
パンプキンスープはこの時代に貴重な食物繊維やビタミンが豊富な料理となるので予防食にももってこいだ。
ウルの国の人々はかぼちゃの甘さに驚いている。農民達からすれば王侯貴族が食す甘味を食べたと騒いでいた。かぼちゃは甘味から賢者の果実なんて付けられた。野菜なのに……あと、かぼちゃも芽が出たり色が変わったら毒ですかと聞かれた。
最後にそば粉のガレット、砥いだ小麦粉を平たい熱した石で焼いたクレープ、饂飩と蕎麦を作る。饂飩と蕎麦はまだ鰹だしも醤油だしがないので、江戸時代の食べ方である茹でた麺に塩を付けて食べる料理と説明した。
農民や農奴達が腹いっぱい食べたのは初めてだと泣いて喜ぶ顔が嬉しかった。
食事を終えた後、王様からしばらく知識を与えるのを止めてほしいと言われた。
どうやら教えすぎて事業広げすぎて労働者不足に陥っているようだ。
技術や職業習熟期間としてしばらく支援は止めて、アドバイスや指導に回ったほうが良さそうだ。
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