第九話:樹皮紙と砂糖大根と養蜂


 翌日の日曜日は粘土板や羊皮紙より気軽に使える記録媒体の開発だ。

 今現在ウルの国で使われているのは粘土板と羊皮紙。

 粘土板は重く嵩張り、乾燥させた時に粘土の質によっては割れてしまう場合がある。雑に扱えば割れる可能性もある。


 羊皮紙は保存に適しており、粘土板に記録された最重要記録(法律や、俺が教えた知識など)を書き写している。

 羊皮紙はネット上の情報では1000年以上保管がきくらしいが、製造過程がしんどくコストが高い。ウルの国ではきれいな羊皮紙は大人の男性農奴最低5人と交換できるぐらい価値があるらしい。


 というわけでまずは樹皮紙を開発してみることにした。

 樹皮紙自体は紀元前時代からあったらしく、世界最古の紙なんて言われている。

 とりあえずウルの国に生えている木を伐採し、樹皮を剥がし叩いて伸ばす。

 作業工程を見ていた羊皮紙の職人や貴族達が「え? これだけでいいの?」という顔をする。

 樹皮紙に適した木なのかわからないことと、保存期間がどれほどのものかわからないので種類を作っていることを説明した。


 続いて伝えたのが養蜂だ。ウルの国も中世ヨーロッパよろしく甘味が乏しく、甘い果実が高級品扱いだった。

 ウルの国では野生の蜂の巣から蜂蜜を採取するぐらいで、養蜂技術はなかった。

 成功すれば定期的に蜂蜜を採取できると伝えると王国の人々の食いつきが違う。

 養蜂方法は巣箱を作り、野生の蜂の巣から嬢王蜂を巣箱に移して巣作りをさせる。

 蜂にとって環境の良い場所を作り、周囲に養蜂植物を植える。

 今はまず巣をちゃんと作るかどうかなのでしばらくは様子見だ。


 養蜂が成功するまでの甘味として砂糖大根こと甜菜またはビートからの砂糖抽出方法を教える。

 ウルの国ではビートは家畜の餌として使っていたようで、高級品を知らずに家畜の餌にしていたと大変ショックを受けていた。

 砂糖の精製方法はビートを絞り、絞り汁に石灰を入れて不純物を取り除く。これを濾過して絞り汁を煮詰め結晶化させる。黒砂糖と呼ばれる砂糖の出来上がりだ。

 現在の上白糖を知っている俺からすると雑味の多い黒砂糖だが、ウルの国の王侯貴族たちには大変好評だ。

 ちなみに葉や搾りかすはそのまま家畜の餌にできるので大変エコロジーだ。

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