第十二話:水車と高炉と蒸留装置と川風呂
翌日は大工や鍛冶師を呼び集めて水車と高炉の建設をお願いする。
水車自体はこの世界にも存在するも、ウルの国では構造がわからなかったのか設置していなかった。
水車を作ることで水流を動力として使える様になる。この水車動力があれば高炉に必要な巨大なふいごを自動的に吹き続けることができる。
これで鋳鉄を作れるようになり鉄加工技術が向上するはずだ。
高炉の設計図を見せた時に今現在の銑鉄で十分じゃという意見もあったが、鋳鉄の良さをプレゼンすれば鍛冶師達が国王達を説得に当たった。
蒸留装置も作ってもらうようにお願いする。蒸留について説明したが今ひとつ理解してもらえない。
とりあえずこの装置があれば新しく強いお酒が作れますと伝えるとのんべと思われる貴族や兵士、職人達が食いついてきた。
装置を作って実際に稼働するか、正常に蒸留することできるか確かめないといけないが、作業に当たってる人達の目が違った。
「ふう……この国は暑いな……」
ウルの国は夏の季節に入ったのか気温が暑い。
大工仕事している職人達も汗だくで時折川に飛び込んで水浴びしている。
せっかくなので川ぶろを作ってあげることにした。
作り方は至って簡単。川辺に穴をほって川の水を流し込み、水風呂を作る。
水が溜まったら水路をせき止めて焚き火などで熱した石を溜め込んだ水を温める。
これで川ぶろの出来上がり。熱すぎたら川の水で、冷めてきたら焼いた石を追加して温度調整すればいい。
この川ぶろで気をつけないといけないのは焼いた石に誤って触らないこと。極稀に足を伸ばして入ろうとして焼け石に足をぶつけたりする。
最後に木酢液を風呂に投入すればちょっとした入浴剤代わりになる。
最初に入るのは王様。この時代の人間はあまり入浴の習慣がないのか、風呂に入ると目に見える垢が浮かんでいるのがわかる。
同じような川ぶろを作り、作業を終えた人達が次々と風呂を堪能している。
ただ、毛深い白人の裸のおっさんが大量に河原に発生してる図は見ていて酷い。
全員が風呂を終えれば本来なら事故防止のために埋めたりするが、今回は関を壊して水を流し込んで放置する。
翌朝には浮いた垢を食べようと川魚達がこの川ぶろに閉じ込められて生簀っぽくなっていると思う。
今回は特に川ぶろを気に入ってくれた。バイオトイレと合わせて領内巡回がだいぶ快適になると喜んでいた。報奨も金貨から金塊にお願いする。
今度は王様の馬車のために車輪かサスペンションを教えてみるのもいいかもしれない。
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