第十三話:異世界がチートでした。
深夜24時と同時に日本に帰ってくる。次の異世界トリップに備えて準備を考えながら眠りについた。
平日は仕事をしながら、青年協力隊時代のメンバーたちに連絡を取る。
海外青年協力隊は名目上各分野の研修をして技術を学び、後進国に技術提供や就職訓練、教育を伝える。
青年協力隊は人手不足で農業担当の人が授業やったり、医師が何故かトタンで出来たバラック小屋の小学校を漆喰壁のちゃんとした建築物に建て替える作業をしていたりする。
俺も都市開発メインだったはずなのに、教育、医療、農業、職業訓練とあれこれやらされたと言うか、やらないと前に進めなかった。
連絡の付いたメンバーたちに個人で海外支援の延長やってると言って教育や建築技術やその他諸々教えてもらったり、マニュアルを送って貰う約束を取り付けた。
今週は特に問題もなく週末を迎える。0時と同時にウルの国へ向かうとなにか慌ただしい。
兵士が俺の姿を見ると王たちを呼びに戻る。王たちが開かずの扉の間に来ると一同全員五体投地のようなきれいな土下座を披露した。
何事かと聞くと、俺が持ち込んだ種がもう収穫時期になるほど育ったという。
思わず二度も聞き直してしまったが、王たちは嘘をついている様子はない。
畑の様子を見に行くと、たしかに小麦やじゃがいも、大豆など俺が持ち込んだ種が全部実っていた……季節とか成長時期とかガン無視で。
王たちが言うには俺が作るように言っていた肥料をまいて、指導した方法で栽培したら実ったそうな……小麦は従来の収穫量の10倍近く、収穫時期じゃないと油断していた農民農奴が悲鳴を上げて収穫作業をしている。
じゃがいもやかぼちゃはウルの国にない農作物で収穫の仕方を聞いてきた。じゃがいもなど地下茎の概念がなかったのか、葉っぱが食べるものだと思っていたと収穫を手伝っている時に農民がつぶやいていた。
「……ちょっとまて、竹はどうなっている?」
ただでさえ成長の早い竹、この世界の成長速度が付け加えられたならどうなってるか予想がつかない。
「チートかよ……早速伐採して、下手すると飲まれるよ」
植えた現場に向かうと、竹林が完成していた。王様にお願いして木こりを総動員して伐採していく。
まずは竹を使った炭、竹炭を作る。竹は中が空洞で炭に向いており、木炭より可燃率がいい。竹酢液も回収して溜め込む。笹の葉は乾燥させて簡易の包帯に。余った竹は乾燥させて建材などに使う。とりあえず見張り小屋を作ってもらって定期的に伐採するようにお願いする。
収穫が終わったらじゃがいもやかぼちゃの食べ方とか教えないと………
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