概要
闇の薬師と呼ばれる一族が終わりを迎える時、絶望的な希望も消えた。
香道御雲流宗家は、暗殺に用いる毒薬の調合を裏の生業とし、古くから「闇の薬師」と呼ばれてきた。香道の宗家は大伯父と呼ばれる一族で最も権力を持つ人間があたり、実際に毒薬を扱う者は裏の当主とされ、その名に「生」の文字を与えられている。膨大な毒の知識と研究成果は、全て当主のみが引継ぎ、その座につく為には先代の毒殺が通過儀礼とされていた。
叔父である先代、如生(しお)を毒殺することで、那生(なお)は御雲の当主となった。当主には片時も離れることのない側近がいる。那生は本家を離れ、側近であると雨月(うげつ)二人きりの生活を送っていた。雨月との間には信頼も愛情もないと信じていた那生だったが、その心に変化が生じていくことを雨月は見透かしていた。しかし、一方では那生が毒殺したはずの如生を救い、匿っていた雨月。側
叔父である先代、如生(しお)を毒殺することで、那生(なお)は御雲の当主となった。当主には片時も離れることのない側近がいる。那生は本家を離れ、側近であると雨月(うげつ)二人きりの生活を送っていた。雨月との間には信頼も愛情もないと信じていた那生だったが、その心に変化が生じていくことを雨月は見透かしていた。しかし、一方では那生が毒殺したはずの如生を救い、匿っていた雨月。側
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