第12話 回復

キールは今不思議なものを見ていた。

自らの左手にかざされた女性の手。そこから感じる不思議な暖かさ。

穏やかな緑色の光が左手を包み込み、ふっと手が軽くなるような感じがした

その女性の首には皮首輪があり奴隷である事がわかる。




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「キール」

待機場所に戻るとクーフェンが呼ぶ

「はい。なんですか」

「ついて来い」

「先の対戦、左手を傷めたな。」

「はい。どうしても大きな1撃が必要でしたので代償を払いました」

「ふん、どうやらようやく覚悟も決まったようだな」

その後は沈黙のまま先導していった。

連れて行かれた先は、小さな小屋であった。中には粗末なベッドがひとつと椅子が数脚あるだけで部屋自体は特に変わったところはなかった。


「ネリス。治療だ」

部屋自体には特徴は無かったが、そこにいる人物が特徴的だった。

肩までのシルバーブロンド(この世界ではブルネットとエメラルドグリーンの髪以外は見たことが無かった)。細面で100人中50人くらいは美人だと言いそうな程度には整った顔。ほっそりとした女性としてやや主張の弱い体型。身長は150センチほどだろうか。

ネリスと呼ばれた奴隷女性は悲しげな表情を見せ、近づいてきた。

「どこですか」

クーフェンが無愛想に

「この小戦奴の左手だ」


「こちらに」

ネリスと呼ばれた女性に勧められるまま椅子に腰を下ろすと、ネリスはキールの左手をそっと抱え何か小声で唱えた。

すると一瞬その顔が強ばるのをキールは見た。すぐにその強ばりは消え元の無表情になったが、キールは強ばった顔に疑問を感じ

「何か」

短く問う

「いえ何も」

そう言い、今度ははっきりと聞こえる声で

「ハイリカバー」

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「おまえは運がいい」

クーフェンが声を掛けてきた。

「5回戦の勝者から試しの負傷に対し魔法による回復措置が受けられる。欠損等のよほどの大怪我でないかぎり回復し次に進むことができる」


「次は2日後だ」

「はい」

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