第2話 転生者の身体能力
7歳の身体で10日後にバーリトゥード。もとの世界でならばありえない状況ではあるが、7歳の身体であり世界の状況もわからないキールには逃げると言う選択肢は無かった。そこでまずは自分の身体能力の確認をすることにしたのだった
瞬発力・持久力・体を動かした際の精度。そういったものを確かめていく
『7歳児の体力じゃねぇよこれ』
実際のところもとの世界の自身の身体能力と比べても遜色は無いのではないかと感じるほどであった。
『この体力で幼児がバーリトゥードなんてしゃれにならんぞ。本当に殺しあいになりかねん』
とにかく情報が必要であった。キールには元の世界の記憶はあったがキールとしての7歳までの記憶がおぼろだったのだ。徐々に思い出してきているようでこの世界の常識や今の状況は把握しつつあるのがせめてもの救いだろう
そこで状況を教えてくれそうな人間を探す。
『ルフトってのは奴隷の持ち主だろうから直接話すなんてのは無理だな、とするとクーフェンと言ったか。あいつから聞き出すしかないな』
幸いというべきか奴隷のしかも幼児となれば事情など何も知らなくとも不思議は無い。そこでキールは見かけたところで直接聞くことにした。
「クーフェン様、試しとはなんなのですか?」
「ふむ、キールは知らないのか。おまえたち奴隷ならばやむをえんところか。おまえは小戦奴候補として選ばれた。これからは労働ではなく戦いによってご主人たるルフト様に仕えるのだ。まずはその身のみを武器として同じ小戦奴候補と戦うことになる。それが最初の試しだ。この地域の貴族・豪商・豪農の抱える奴隷を集め年に1度勝ち抜き戦によりその年の小戦奴を決める。難しいことは無い、戦って勝てばいい。負ければそこまでだ」
「何人くらいで戦うのですか」
「ふむ、年によって違うが、おおよそ1000人の奴隷が集められ、1対1で戦うことになる」
「どうなったら勝ちなのですか」
「判定員が決める。が、そうだな・・・おおよそ気を失うか明らかに戦うことが出来ないほどに負傷したかが基準となろう」
バーリトゥードどころではない、これはパンクラチオンだ負けはそのまま死につながる。しかも奴隷による戦いである。市民であれば止められるような負傷でも止められないのは目に見えている。キールは暗澹たる気持ちを抱え試しの日を待つことになった
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