第十四話

 どっぷりと日が暮れた頃、「大鷲」は行動を開始した。


「足音を立てぬよう。俺の歩いた後を辿れ」


 スオウが先に立って歩く。彼の歩いた後に、フランシスたちは一列になって続く。荒野の向こうに、間者の根城とされる岩山が見えてきた。

 岩山の各所から、明らかに人工のものとわかる光が漏れている。上方にあるひときわ明るい光は、カンテラのような照明器具のものだろう。


「もうすぐだ。ここからは、敵に視認される距離だ。慎重にな」


 岩陰から岩陰を伝い、一行は少しずつ岩山に近づいていく。大きな岩の裏手――根城からは死角になる場所で、スオウは足を止めた。


「説明した通り、出入り口は上下に二箇所だ。上の出入り口は、岩山の頂上の見張り台に繋がっている」

「わかりました。では、手はず通りお願いします」


 スオウは頷くと、素早く岩陰から躍り出た。漆黒の闇の中を音も立てず走り、やがて根城がある岩山に辿り着いた。そして、まるで蜥蜴のようにするすると岩山の壁面を登っていく。

 スオウは岩山の頂上に辿り着くと、そこに立っている見張り役の男の背後に忍び寄る。その長い腕を男の首に絡みつかせると、一瞬にして男を無力化してしまった。

 スオウは、フランシスたちに向かって手信号を送る。ダイアナ、エドガー、サイラスの三人も、岩山に向けて走り出す。

 岩山下にある出入り口は、木製の扉が取り付けられていた。ダイアナが注意深く扉を揺する。どうやら、内側から閂がかけられているようだ。

 三人は頷き合う。エドガーが大戦斧を構え扉の正面に立ち、サイラスとダイアナは地面に自らの得物を置いて扉の両脇に立った。

 ダイアナが、指でカウントを取る。三、二、一――


「うおぉーりゃぁっ!!」


 エドガーの大戦斧が、根城のドアを閂もろとも粉々に打ち砕く。上からはスオウが、下からはダイアナとサイラスが、ぴったりのタイミングで突入した。


「フラン、行くよ!」

「了解!」


 二人も、根城に向かって走り出す。突入隊である四人が取り逃がした敵を抑えるのが二人の仕事だ。アルフレッドは一人後方に残り、辺りの哨戒を続ける。

 二人が扉の前まで着いたときには、既に敵の半数が気絶させられていた。

 四人はそれぞれ奮闘しているが、特に目ざましい活躍を見せているのがスオウだった。複数の敵の只中に突っ込むと、目にも止まらぬ動きでその戦闘力を奪っていく。格闘術が得意だと聞いていたが、この技術にはフランシスも目を丸くして驚愕する。

 十数人の敵全てを無力化させるのに、かかった時間は一分にも満たなかった。


「終わりですね。では、全員縛り上げて下さい」


 四人は、一人一人の手足を縛り、猿轡を噛ませにかかる。

 と、サイラスが声を上げた。


「お前、何をしている! 動くな!」


 一人の男が、肩の関節を砕かれながらも立ち上がり、根城の壁に駆け寄ったのだ。サイラスが止める間もなく、男は上から伸びた一本の紐を引く。

 直後、大きな破裂音が響き渡った。外にいたフランシスたちには、岩山の上空でオレンジ色の輝きが生まれるのを見た。信号弾である。明らかに、根城の外にいる仲間への合図だ。


「キーツ、ファウラー!」


 ダイアナの鋭い声に、二人はすぐさま反応して走り出す。


「……二人とも! 向こうに馬の気配があるぞ!」


 地面に耳をつけたアルフレッドが叫ぶ。


「ありがと、お爺ちゃん!」

「いや、ちょっと待て! この音は……」


 アルフレッドが何ごとか伝えようとしていたが、フランシスとクリスティは既にトップスピードに達している。二人は、まずその馬を追うことにした。

 やがて、二人の視界に二頭の騎馬が入ってきた。根城から全力で離れようとしているようだが、竜人の脚力からは逃れられない。馬への距離は、ぐんぐん縮まっていく。


「フランは左! あたしは右!」

「了解!」


 フランシスたちはぱっと二手に分れ、逃亡者に肉薄する。

「いくよ、せーのっ!」


 クリスティの合図に合わせ、フランシスは右手の馬の乗り手に飛び掛った。馬を操ることに必死だった男を抑えるのは容易だった。フランシスが注意すべきは、力を入れすぎて男に大怪我を負わせないようにすることだけだった。


「どう、どう!」


 手綱を引いて、馬を停止させる。間者の男はフランシスの万力のような腕に締め付けられ、気を失っていた。


「なかなか手際がいいじゃん、フラン」


 一方のクリスティも、難なく敵を気絶させていた。ぐったりした男を地面に放り出す。


「でも、こいつらこんな所で何やってたんだろ」


 二頭の馬は、竜の生息地とみられる地域の方から走ってきた。そんな場所に用事があるのは、対竜部隊の竜生態調査隊くらいなものだ。


「ん? この荷物は――」


 フランシスは、自分が抑えた馬の背に、大きな包みが括り付けられているのに気付く。厳重に梱包されたその荷は、ずっしりと重かった。


「とりあえず開けてみようよ」


 クリスティが、包みを解きにかかる。厚手の布に何重にも包まれていたその中から出てきたのは――一つの楕円体だった。表面はやや黄色がかった灰色で硬質だ。


「これって……卵、だよね」


 クリスティの言う通り、それは卵以外に表現しようのない物体だった。ただ、そのサイズは大の大人の一抱えほどもある。


「でも、こんな大きい卵なんて――あっ、もしかして――!」


 常識では考えられない大きさの卵。しかし、ここコルドアには、常識では考えられない巨躯を誇る生物が存在する。


「まさかこれが――って、ちょっと待ってフラン、さっきから気になってたんだけど、何か聞こえない?」


 言われて耳を澄ましてみる。確かに――遥か彼方から、何かの物音が聞こえてくる。どろどろと低く轟く、地響きのような音だ。対竜部隊での経験が少ないフランシスにも、その物音が何かはわかる。そして、その音は徐々にこちらに近づいていた。


「まずいよ、これ!? どうしよう、クリス!」

「と、とりあえずみんなの所に戻ろう!」


 巨大な「卵」を抱え、フランシスたちは患者の根城に向かって走り出した。




「少佐、大変です! 竜が……!」

「わかっている! 静かに!」


 根城の前では、アルフレッドが地面に耳を付けて音を探っている。

「こいつは大変じゃぞ……ありゃあ、炎竜じゃ。しかもサイズは……三十メートル以上!?」


 地面に伝わる足音を頼りに、アルフレッドがそう推測した。


「ニューマン殿、間違いはないのですか」

「……ああ。毎時四十キロ以上の速度で、西南西方向に突っ走っておる」

「しかし、何でこんな所に竜が?」


 エドガーが疑問を呈する。


「フラン、もしかして――」


 フランシスは頷くと、奪取した卵をを皆に見せた。


「まさか、これは……竜の?」


 ダイアナがアルフレッドを顧みた。


「このわしも、竜の卵は見たことがない。しかし――これほどの大きさの卵を産む動物を、わしは知らん。恐らくはそうなんじゃろう」


 討伐した竜の解剖により、「どうやら竜は卵で増えるらしい」ということはわかっている。しかし、実際に竜が卵を産むところや卵が孵るところは未だ観測されていない。

 一般に、寿命が長く強い動物ほど、生む子の数が少なくなる。今まで竜の生殖が観測されなかったのは、竜が子を生む頻度が極めて少ないからだろうと推測されていた。


「すると、アレか。卵を奪われた親が、卵を追って来たってことか」

「まあ、サイラスの言う通りじゃろうな。子を奪われて怒らん動物などおらんわ」

「それじゃあ、あの竜はここまで来ちゃうってこと?」


 クリスティの言葉に、一同は凍りつく。何しろ、こちらの戦力は「大鷲」の七名のみなのだ。

 そうこうしている間にも、竜の足音はどんどん大きくなる。そして遂に、その姿がフランシスたちにも見えてきた。

 大きい。三十メートルというアルフレッドの言葉は間違いではなかった。ちなみに、三十メートルというのは今まで観測された中でも最大級のサイズである。


「な、なら、卵を返せば帰ってくれるんじゃないでしょうか」

「フランシスの言う通りじゃな。パトリシア嬢ちゃんあたりは残念がるじゃろうがの」

「……そうですね。こちらの戦力が少ない以上、竜とことを構えるわけにはいきません。キーツ少尉、卵を竜の進行ライン上に設置してください」

「了解!」


 クリスティが、卵を抱えて駆けていく。持ち前のスピードで荒野を疾駆し、数キロ先の巨大な竜にみるみるうちに接近する。

 クリスティが竜の進行方向上に止まり、ごそごそと動くのがフランシスにも見えた。竜の卵を地面に置いたのだろう。クリスティはその場から離脱し、やや離れた場所から卵を見守る。


 竜は卵を置いた場所に向けて走り――そのまま通り過ぎた。


「ヤバいよ、あいつ! もうすっごい怒ってて、卵も目に入ってない感じで……」


 怒りが限界を超えたのか、竜は卵を取り返すという本来の目的を忘れ、暴走状態に陥っているらしかった。

 これには、ダイアナの顔色が変わる。

 荷物から地図を取り出すと、手近の岩の上に広げた。


「ニューマン殿、竜の進行方向は?」

「二時から八時じゃ」


 ダイアナが木炭で地図にラインを引く。


「これは……いけない」


 ダイアナのこめかみに一筋の冷や汗が流れた。

 もしこのまま竜の進行が止まらない場合、数時間以内に人里に到達してしまうのだ。


「……竜の進行方向上にあるのはカデック村、アイワード村、ジーン村――その先にはニエマイア、か」


 地図を覗き込み、スオウが呟いた。フランシスの頭から、一気に血の気が引いていく。生まれ故郷のジーン村が、危機に晒されているのだ。


「しょ、少佐!どうにかならないんですか!」


 フランシスが、悲痛な声を上げる。


「黙りなさい! 考えています!」


 ダイアナが声を荒げた。フランシスは、ここまで焦るダイアナを見るのは初めてであった。

 混乱で悲鳴を上げそうになるのを必死に抑えつつ、ダイアナは考える。

 どうする。今から人里の手前に防衛線を張るには時間が無さ過ぎる。ここからシラーズ基地に戻る間に、竜は人間の生活圏に到達してしまうだろう。隊を分け、何人かでか足止め、できれば進路を逸らせれば――いや、駄目だ。圧倒的に強大な敵に対し、戦力の分散など愚作。みすみす戦力をすり減らすだけだ。

 「吼狼」の一撃に賭ける、という手もある。しかし、今回「吼狼」に詰めてきたのは炸裂弾だ。貫通力の低いこの弾丸では、竜の鱗を貫き致命傷を与えることはできない。


「……今からわれわれは全力でニエマイアに向かいます。ニエマイア基地にて戦力を整え竜を迎え撃つ。それしかないでしょう」


 ニエマイアは竜の進行方向の延長線上に位置する街で、そこにはシラーズ基地と同規模の基地がある。シラーズ基地に戻るよりは、ニエマイアに向かったほうが早いと判断したのだ。

 しかし、これは苦渋の決断である。ニエマイアより手前にある村々は、竜に蹂躙されてしまうということだからだ。


「そんな! じゃあ、その村に住む人たちはどうなるんですか!?」


 フランシスが、必死に抗議する。


「……一人を、村の人々の避難誘導に当たらせます。竜に先んじることができれば、死傷者は減らせるはずです」


 これが、ギリギリの妥協点だった。一人が竜の進行方向上の村に先回りして村人たちを逃がし、残りの六人が全力でニエマイア基地に向かう。

 しかし、それは裏を返せば間に合わなければ多くの死者が出てしまう、ということだ。

 竜の推定速度は時速五十キロ近い。「大鷲」で一番のスピードを誇るクリスティは瞬間的には時速百キロ近い速度を出せるが、数十キロという距離を走破する場合、出せる速度は六十キロがいいところだ。しかも、途中小休止を挟まなければ「燃料切れ」を起こしてしまう。

 この間者の根城から、一番近いカデック村までは約六十キロ。計算上、避難誘導係は村に着いて十数分で避難を完了させなければならないことになる。老人や子供、おいそれと動かせない怪我人や病人がいる可能性も考慮すると、現実的な数字ではない。

 奇跡的に避難が間に合ったとしても、家屋や畑、家畜など――村人たちの生活は、確実に踏みにじられる。フロンティアの開拓村に暮らす人々は、ほとんどが何の財産も持たず裸一貫でコルドアに移住してきた人間だ。血の滲むような努力を重ねて切り拓いた土地が蹂躙されれば、後に残るのは絶望だけだ。

 そして、その竜の進行方向にはフランシスの故郷、ジーンも含まれている。


「どうにか……ならないんですか……?」


 フランシスが。搾り出すように呻いた。

 ダイアナは唇を噛む。ダイアナの決断は、実質的にいくつもの村を犠牲にするということだ。しかし――どこかで竜の進攻を食い止めなければ、竜は際限なく暴走を続けるだろう。

 ダイアナとて、小を殺して大を生かす、という思想は好まない。しかし、軍人は時として非情な決断を下さねばならない。


「他に手はねぇのか、畜生!」


 エドガーが、足下の岩を蹴りつける。


「もう少し考えてみようよ! みんなで考えれば何かいいアイデアが出るかもしれないし」

「キーツ少尉、今はそんなことをしている余裕は――」

「……少佐」


 と、スオウが割り込んだ。


「失礼を承知で言うが、今のあなたは冷静さを欠いている」


 その低い声には、不思議と人の心を落ち着かせる効果があった。ダイアナは、一つ深呼吸した。


「……申し訳ない。キーツ少尉の言葉ももっともです。しかし猶予はありません。三分――いや、一分待ちます。対案があるなら、その間に考えなさい」


 そう言って、ダイアナが懐中時計を取り出す。

 七人は、無言で考えを巡らせる。十秒、二十秒……時だけが無情に過ぎていく。

 一番必死なのはフランシスである。故郷が危機に瀕しているのだから無理からぬことだ。

 ――落ち着け、考えろ。

 神父がいつか言っていた。人間という存在が本質的な死を迎えるのは、考えるのを止めたとき。逆に言えば、諦めず考え続けるのなら、必ず活路は見い出せると。

 何か突破口はないか。竜の生態、戦術論、戦史――今まで習ってきたことを思い出す。相手は規格外の炎竜、そして味方の戦力は竜人七名のみ。圧倒的な戦力差だ。それを覆すには、常識的な作戦ではどうにもならない。


「……さて、一分です。何かいい案は」


 口を開く者はいない。ダイアナの判断が最善であることは、皆理屈では理解していたのである。


「では、一刻も早く行動開始を。村の住人の避難誘導は、キーツ少尉が――」

「……待ってください!」

「フラン、何か思いついたの?」

「うん。とても難しい、いや、もしかしたら不可能なことかもしれない……」


 フランシスの言葉は、尻すぼみに小さくなっていく。自分の考えに自信が持てていないのだ。


「ファウラー少尉、言ってみなさい。時間がない」

「はい……ここで、僕たちの手であの竜を倒します」


 一同は絶句する。無理もない。本来、竜の討伐は綿密な調査を基にした作戦立案と、数百人規模の人員を必要とする大規模な軍事行動だ。全員が竜人とはいえ、たった七人で竜を倒すというのはあまりに非現実的である。


「作戦があるのですか」

「はい」


 フランシスは、自らが考えた案を皆に話す。

「そいつは……理屈の上では可能かも知れんが……」


 サイラスが、眉間に皺を寄せながら唸る。


「博打みてぇなもんだ。それもかなり分の悪い、な」


 エドガーも、この作戦に気乗りしないようだ。


「却下です。成功する可能性はゼロです。全滅の憂き目を見るのは明らか」

 ダイアナがぴしゃりと言い放つ。


「そうじゃろか? お前さんなら知っているじゃろう、『カザ高地』の戦いを」

 反論したのは、アルフレッドだった。


「……それは、勿論。しかし…………」


 ガザ高地の戦い――英雄レナードが、不可能とされた困難な作戦を見事成功させた、奇跡的な一戦である。フランシスの案は、この戦いを下敷きにしたものだ。

 確かに、可能性がゼロというのは言い過ぎた。しかし、レナードがやれたから自分たちにもできる、と考えるのは大きな間違いだ。それほどレナードという男の力は傑出している。ダイアナは、レナードの側に仕える日々の中で嫌でも思い知らされている。


「……やはり、無理――」

「少佐、やろうよ! 無理かどうかなんて、やってみなくちゃわかんないじゃん!」

「クリス……!」

「フランはできるって思ったんでしょ? だったらあたしは信じるよ」

「ありがとう、クリス」


 次にフランシスに賛同したのは、意外にもフランシスと付き合いの浅いスオウだった。


「俺は、新入り――フランシスに賛成だ。少佐、俺たち『大鷲』の使命とはなんだ」


 「竜を貫く槍となり、竜から民を守る堤となる」――作戦開始前に、「大鷲」隊員が必ず唱えさせられる言葉だ。


「いくら困難だからといって、目前の民を見捨てる選択をするのは俺たちの存在意義を根底から覆す行為だ」

 スオウの切れ長の眼が、わずかに細められる。表情の変化は良く見なければ気付かない程度、口調も落ち着いてはいるが、彼が怒っていることはフランシスにもわかった。


「なるほどな。確かにお前の言う通りだ、スオウ。要は成功させればいいってこった」

「なんだエドガー、お前もそっち側に回ったのか。俺一人だけ反対してたんじゃ格好悪いな」


 サイラスが、おどけたように肩を竦めた。


「エドガーさんにサイラスさんも……」

「さてダイアナ嬢ちゃんよ、どうするね。この老体は戦いの役には立てんからの、お前さんの判断に全て委ねるよ」


 ダイアナはわずかな逡巡ののち、口を開いた。


「ファウラー少尉。もし本当にこの作戦を決行するのなら、命の保障は無い――いや、むしろ命を落とす可能性のほうが高いかもしれません。あなたに、できるのですか?」

「それは……僕にもわかりません。でも――僕は絶対に逃げない。そう決めたから」


 フランシスとダイアナが睨み合ったのは、ほんの一瞬。しかし、ダイアナはその一瞬でフランシスの不退転の決意を見て取った。


「……ふう、仕方ないですね。しかし、私は戦いへの参加を強制はしません。みな、前言を翻すなら今のうちですよ」


 決心を変える者は、一人もいなかった。


「この作戦、失敗は許されません。腹をくくりなさい――傾聴!」


 全員が姿勢を正した。


「皆に問います。我ら『大鷲』の使命とは何か!」

「はい! 竜を貫く槍となり、竜から民を守る堤となることです!」


 六人は声を揃えて答えた。


「よろしい。では、作戦を開始します。総員戦闘準備!」

「了解!」


 竜の足音が轟く中、六人は一糸乱れず敬礼した。

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