生きるということ、物を食べるということ、命のこと、それをとても考えさせられる物語でした。人の価値観、社会の価値観、それは時代と共にうつろい変わります。コーヒーもヨーロッパでははじめのうち薬としてもてはやされましたし、暴力的表現、性に対する扱いなども時代によって変わっていきました。多数派が正しいという世界の中でぼくたちも倫理的な死を少なからず感じる瞬間があるような気がします。答えはでないですが、それでも生きることはやめられないのだなぁと思いました。非常に面白かったです。
近未来を描いた映画や海外ドラマはけっこうあるけど遺伝子工学や技術が進んで、ロボットの犬ネコが登場。本物の肉を食べただけで違法とはえげつない。この近未来では本物の動物はどうなったのか?それを考えると恐ろしくなる感じですね
星を10個くらいつけたい
AIの猫でもかわいければいいし飼えると思った自分は新人類なのかもしれない。よいのか悪いのかはわからないけど。
食べることの倫理が違う世界、というSFは昔からある。有名な「ミノタウロスの皿」のような…… それと並ぶくらい切れ味の鋭い作品だと思いました。 カクヨムってディストピアSFの秀作が多いみたいですが、ディストピアというのは単に酷いだけでなく、「筋が通った世界」で、「もしかすると俺達の世界のほうがおかしいのかも」みたいな気持ちが湧き起こってこそ、本物のディストピアだと思うんですよ。 現実破壊力のある優れた作品です。
フォルカスのイキモノとしての誇りは、果たして、人間を上回っていたのか、それとも環境に適応できなかった敗者だったのか。不思議な余韻を残す作品です。
結局何が正しくて正しくないのかというのを考えさせられる作品でした。多数派はどんな状況でも強いのでしょう。
あるいはこれが答だと自信満々に持論を語る者もいるしかし世の中には実はきっちりした答などありえない、割り切れないものがたくさんあるのではないかとすれば世界と真摯に向き合うほどに、人はこの割り切れないもどかしさを抱えたまま生きていくしかないそんなもどかしさを突きつけられてゾクゾクしたい方は是非ご一読
なんというディストピアなお話でしょう。なかなかに面白かったです。特に猫の下りは印象的でした。そして実に考えさせられるお話でした。
最後まで読んで、改めてタイトルを見るとなんとも感慨深い。娯楽としても、風刺小説としても読みごたえのある作品でした。
価値観が人を殺す。他のレビューと同じく。本当に起こり得る可能性がある話でとても興味深く、今も昔も時代の転換期に合わせて、変わる人・変われない人・変わりきれなかった人が分かる内容でした。大きく変わった未来の人は、今の私達から見ると意識の面で最早人では無いと感じる時が来るのかもしれません。
将来、実際に起こりえるようなテーマですね。現在家畜として食べられるために生みだされている生き物たち。確かに人間本位だし残酷な行為なんだと思います。殺して、食べる。でも、だからこそ、命に対して鈍感にならずにいられるのかもなぁ…とこの作品を読んで感じました。
肉の設定などが非常に考えられて作られている。SFとしてそういった細かい設定だけでも十分にお腹一杯になるのだが、更にそこに倫理観といったスパイスが加わりとても充実した内容になっている。機械猫ファルカスの話はこの世界観を集約したようなもの。良い物を読んだ!
タイトルに惹かれてずっと気になっていた作品。矛盾をはらんだ倫理観の推移を、巧みな構成と淡々とした文体とで描ききっている。淡々としているけども、実はむせび泣いているような気配が漂う。
なんども読み返してしまうほどに素晴らしい完成度です。
これはいいSF。二度目の喪失が物悲しい。
偽物の…という点で、ブレードランナーに似た世界観を感じた。雰囲気で読ませるとてもいい短編だ。
どうしてもその引っ掛かりを言語化できない。うあー・・・うあー・・・と唸りながら読むしかないのだ。
道徳では命は尊いと言われても、自分の命の為に何かを殺して食べないといけない。そんな当たり前だけど、考えてみればおかしい事を淡々と書かれてる様を読んでると近い未来の話にも感じて怖く感じた。